増木 優衣

増木 優衣(南アジア・インド洋世界論講座)
「インドの郵便助っ人おじさん」

                                        
    インド最大の商業都市ムンバイで、友人に贈り物を届けようと郵便局に向かいました。郵便局の手前には、「ライター(書く人)」もしくは「パッカー(包む人)」と呼ばれるおじさんがいます。住民の識字率が低かった昔は、住所を書ける人が限られており、みんながこのおじさんに住所の記入を頼んでいたためライターと呼ばれていますが、現在は段ボールを包装してもらうお客さんが多いそうです。ムンバイ以外に、大きな郵便局のある都市にもライターさんたちはいるのだそうです。

    写真のライターさんは、配達中に段ボールが乱暴に扱われても崩れてしまわないように、大きな白い布で包み、箱の三辺を長く太い針で縫っています。布にマジックで住所宛名を書いたあと、わたしはやっと郵便局に向かいます。ちなみにこのおじさんは、段ボールの販売や送金申込書への記入も請け負っていて、後者は他州からの出稼ぎ労働者に重宝されているのだそうです。

    【「アジア・アフリカ地域研究情報マガジン」第159号(2016年9月)第124回「メルマガ写真館」より引用】

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