アジア・アフリカ地域研究情報マガジン:写真館バックナンバー

メールマガジンバックナンバー第75号

■■■■■ September 2009 第75号 <改革プロ・メルマガ第10号>■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/index.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数 981】■■■■

___________今月号の目次_________________

□「虫から天まで、そして体でとらまえる」........フィールド便り
□「ドナドナ?」..............................メルマガ写真館II
□大学院教育改革支援プログラム情報
...........フィールドスクール情報(カメルーン・インドネシア)
□GCOE情報
................ワーキングペーパ、研究会活動記録、派遣報告など
□セミナー情報
□編集子より
__________________________________

=========================================================
■フィールド便り 第10便
~みる・きく・ふれる:アジアとアフリカのフィールドから~
=========================================================

「虫から天まで、そして体でとらまえる」..........岡本正明

2009年8月上旬、大学院生6名、教員4名が参加したインドネ
シア・フィールド・スクール(以下、IFS)を実施しました。イン
ドネシア・バンテン州のティルタヤサ大学とNGOのバンテン研究所
が現地協力機関でした。

IFSでは、私の調査地バンテンを現場にすること、フィールド・
ワークとは何かを探求し続けてきた島上宗子氏(あいあいネット)
の支援を仰ぐことにしました。研究者になるにせよ実務家になる
にせよ、フィールド・ワークでは、そもそも現場に入る・住むこ
との意味を考えることが不可欠です。ですから、島上氏のアイデ
アを借りて、そのためのプログラム作りをすることにしました。
その中身を簡単に言うと、「虫から天まで(全てを)みる」(山田勇)、
「頭(理性)ではなく、体から(身をもって)現場に入る」(島上宗子)
ということです。一つの地域(今回は村)で生活して、現場を全体的
に捉える力を養うことを重視しました。インドネシア語を十分に
使えない参加者が現場に入る場合、まずもって研ぎ澄ますべきは
「眼の力」でした。

今年3月に現地協力機関のメンバーとプログラムの趣旨について
意見交換しました。当初、彼らはプログラムの意味が理解できま
せんでした。彼らからすると、質問票を配ったり、RRA、PRAといっ
た調査手法を利用したりして村を捉えることが調査だったからです。
しかし、若手中心のメンバーであり柔軟性があったのでしばらくし
て趣旨を理解してくれました。

8月2日からIFSが本格的に始まり、参加者にはホスト家族宅に滞
在して自分の眼で見て回ってもらい、村を歩いて地図作りもして
もらいました。参加者全員、ホスト家族とも楽しく過ごし、積極的
に「見る力」の涵養に努めました。村滞在二日目の夕方、参加者た
ちに気づいた事柄を話し合ってもらうと、いろんな疑問が提示され
ました。放し飼いの鶏から産まれた卵の所有権、居間とトイレの竹
編み壁の隙間の違い、トイレにある水入れの小魚の意味、不思議な
家族関係、海辺で排便する理由、移動式屋台の少なさなどなど。
インドネシア人側にとっては自らの常識が参加者の疑問になってい
ることが驚きだったようです。

村滞在四日目、焼け落ちたウジュンクロン国立公園の事務所を見に
行き、実際に焼き討ちされた森林官の話を聞きました。WWFといった
国際ドナーからの支援も得ている国立公園と地域住民との間にある
緊張関係は日常の生活に浸っているだけでは全く見えず、俯瞰的な
「眼の力」も必要なことを理解してもらいました。

村滞在最終日、参加者たちは、地図などを使って彼らの発見を村人
の前で発表し、日本の盆踊りも披露して、村人にも参加してもらい
ました。山田勇先生、島上宗子氏、古市剛氏らの歌もあり会は大い
に盛り上がりました。

参加者にとってのこのIFSの意義はそれぞれでしょう。実施者側と
しては、次の二点を理解してもらえればと思っていました。
(1)現場に虚心坦懐に入ることの重要性(「まずは相手を信じる」
(井上真)、「だまされる覚悟はしておく」(岡本正明))、
(2)現場との付き合いは一期一会という気持ちで臨むと同時に、
貸し借りの積み重ねによって醸し出されてくる長期的なものである
こと、こうした理解は実務家にとっても当てはまること、この二点です。

最後に、このIFSの現場指揮官である島上宗子氏、現場を歩き回る
ことの重要性を体現してくれた山田勇先生、精緻な会計管理で相手
方をてんてこ舞いさせた古市剛氏、そしてハミッドを初めとした現
地協力機関の皆さん、本当にありがとうございました。また、バン
テン社会との架け橋となってくれた院生諸氏にも感謝します。

__________________________________

このメールマガジンのバックナンバーは、こちらのページから
ご覧いただけます。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/mm/mm_list.html

=========================================================
■メルマガ写真館II ~フィールドで出会う~
=========================================================

「ドナドナ?」
................. 下山智輝 (東南アジア地域研究専攻)

インドネシアFSCの調査地であった農村への道中、対向車が
パンクし、1時間程立ち往生する場面がありました。写真は
その際に、・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/mm/2009_09.html
(写真とエッセイの続きは上記HPでご覧いただけます)

↓「メルマガ写真館」バックナンバー
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/mm/mm_phots.html

=========================================================
■大学院教育改革支援プログラム:
研究と実務を架橋するフィールドスクール情報
=========================================================
────────────────────────────
◆カメルーン・フィールドスクール(2009)
────────────────────────────
日 時:2009年8月29日~9月7日
場 所:カメルーン 

2009年8月29日から9月7日にかけて、カメルーンに
おいてフィールドスクールが開催されました。京都大学アジ
ア・アフリカ地域研究科からは13名の院生が参加しました。
30日には、首都ヤウンデでにおいて、カウンターパート校
であるヤウンデ第一大学の先生や・・・
詳細情報>>
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/reports/2009Cameroon.html

────────────────────────────
◆インドネシア・フィールドスクール(2009)
────────────────────────────
日 時:2009年8月2日~12日
場 所:インドネシア バンテン州

2009年8月2日から8月12日にかけて、インドネシア・
バンテン州においてフィールドスクールが開催されました。
京都大学アジア・アフリカ地域研究科から6名の大学院生が
参加しました。現地プログラムではジャワ島西部のバンテン
州タマンジャヤ村にてホームステイ(5泊)をしながら・・・
詳細情報>>
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/reports/2009Indonesia.html

=========================================================
■京都大学 G-COE プログラム
:生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点HP掲載情報
=========================================================
────────────────────────────
■ワーキングペーパ
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/staticpages/index.php/working_papers
────────────────────────────
◆G-COE Series 79 --Muniandi Jegadeesan , Koichi Fujita
"Aspects of Tank Irrigated Agrarian Economy in Tamil Nadu, India:
A Study of Three Villages"
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/workingpaper79

◆G-COE Series 80 --Soichiro Shiraishi
"Discourse and Social Relationships in Land Tenure Evaluation:
A Claim for Land Rights in an African Agrarian Society"
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/workingpaper80

◆G-COE Series 81 --Hiroko Kinoshita
"Islamic Higher Education in Contemporary Indonesia:
Through The Islamic Intellectuals of al-Azharite Alumni"
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/workingpaper81

────────────────────────────
■大学院教育(フィールド・ステーション)
────────────────────────────
□大学院生の派遣報告(2009年度)
◆「タンザニア、サンダウェの環境利用の変遷をめぐる
政治生態学的研究 」
..........八塚春名(ASAFAS アフリカ地域研究専攻)

本研究で対象とするのは、いずれも東アフリカに居住するコイサン
語族のサンダウェとハッツァである。コイサン語族はこれまで
「狩猟採集生活を送る人びと」というイメージを・・・
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php?story=2009_fs_yatsuka_j

>>大学院派遣者リスト掲載(2009年度)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/2009list

────────────────────────────
■9月開催の研究会※研究会活動の記録掲載をすすめています。
────────────────────────────
■G-COEパラダイム研究会
[2009-09-07]「インドネシアにおける赤道大気研究」[第21回研究会]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php?story=20090410143515104

■イニシアティブ1 研究会
[2009-09-26]「現代湾岸諸国におけるグローバル化と政治・経済体制」
[G-COE/KIAS ワークショップ]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php?story=20090926_ini1

■イニシアティブ4 研究会
[2009-09-26]「Arun Agrawal著、Environmentality: Technologies
Of Government And The Making Of Subjects (Duke UP、2005年)輪読」
[環境・制度・STS・人類学に関する勉強会]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php?story=20090926

[2009-09-30] 「災害と多文化の共生」[イニシアティブ4フィールドトリップ+研究会]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php?story=20090924094412521

────────────────────────────
■セミナー情報 10月のおもな地域研究関連の研究会情報
────────────────────────────
[2009-10-17]「他宗教から見た中道派」[KIASユニット2第1回研究会]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php?story=200901017

[2009-10-19][第22回研究会] (G-COEパラダイム研究会)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php?story=2009041014301455

◆カレンダーからその他セミナー情報が閲覧できます。
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/calendar/index.php
__________________________________

◆編集子より◆9月16日付でプログラム特任助教に着任しまし
た細田です。どうぞよろしくお願いします。さて、朝夕はめっき
り涼しくなり、秋の気配を感じるこのごろです。ASAFASで
は院生たちが次々と帰国し、これもまた、夏の終わりを告げる風
物詩のようです。インドネシア・フィールドスクール、カメルーン・
フィールドスクールに参加した院生のみなさん、そして引率され
た教員の方々、おつかれさまでした。冒頭の岡本正明さんの寄稿
からは、フィールドスクール中に様々な交流の場があり、互いの
間で「発見」があったように思います。交流は、時間や回を重ね
ることによって新たに展開していくもの。夏が過ぎても、参加者
同士、あるいは開催地などで偶然出会った人との間で長いお付き
合いが続くよう願っています。(NH)
________________________________

◆このメールマガジンは、JSPS大学院教育改革支援プログラム「研究と実務
を架橋するフィールドスクール:社会に貢献するアジア・アフリカ地域専門
家の養成」実行委員会がASAFASフィールドワーク・インターンシップ支援
室より発行しています。

◆感想やご質問をお気軽にお寄せください。掲載希望の記事や
研究会の案内なども受け付けています。
宛先:areainfom@areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp

◆バックナンバーは、こちらのページから読むことができます。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/mm/mm.html
__________________________________

◆このメールは「まぐまぐ」と「melma!」システムを利用して配信して
います。新規登録・解約は下記ページにてお願いします。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/mm/mm.html

■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
ASAFASフィールドワーク・インターンシップ支援室
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/index.html

協力:
京都大学 G-COEプログラム:生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■


■メルマガ最新号
(バックナンバー)