アジアにおけるシャーマニズムの諸相 (2009)

お知らせ

3月5日に研究報告会を終了しました。報告会の詳細は、プログラムをご覧ください

概要

 本共同研究は、シャーマニズムと、それを成立させる社会的背景を比較研究することより、現代アジアにおける宗教と社会の関係を浮かび上がらせようとするものである。近年のアジアにおける社会変動と、それにともなう宗教の「再生」に関する事例は、多くの地域から報告されている。このような現象の要因は、近代化・都市化の進行にともなって形成される資本主義的な関係と、そのなかにある人々の不安や欲望と関連付けて説明されてきた。しかしながら、そのような説明は、はたして妥当と言えるのか。またそもそも宗教の「再生」と言うことができるのだろうか。結論を急ぐ前に、より多くの国家・地域における具体的・個別的な事例から、従来の説を批判的に再検討することが必要だろう。 本共同研究で対象とするのは、中国、台湾、ベトナムの3国におけるシャーマニズムである。宗教のなかでもシャーマニズムに注目するのは、それぞれの地域におけるシャーマニズムが、いったん衰退を経験しながらも、近年になって復興しつつあるという事例が報告されているからである。対象国は、いずれも中華文明の影響を強く受けているものの、国家体制は異なっている。また対象地域も、都市と農村の両者を含んでいる。本共同研究では、各地域における事例の比較研究によって、国家による管理体制がシャーマニズムにどのような影響を与えているのか、そして地域社会の変容とどのように関わっているのか、といった諸問題についての考察を進める。

研究報告会

研究報告会
 ⇒Program (English)
 ⇒Poster (English)

研究報告書

目次

1. はじめに
2. 小島敬裕
中国雲南省徳宏州におけるザウラーン・ザウザーイ・ヤーモットの宗教実践
3. 前川佳世子
台湾における霊媒の変容
4. 北澤直宏
ベトナム・ハノイ市におけるシャーマニズムについての考察 5. 研究報告会ポスター

メンバー

氏名調査地研究テーマ
北沢直宏
(研究代表)
ベトナムカオダイ教からみた宗教と社会
小島敬裕中国雲南省徳宏州徳宏タイ族の宗教と社会
前川佳世子台湾台湾における霊媒の研究