臨地教育研究による実践的地域研究者の養成

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

第52号(2007年10月配信)「メルマガ写真館」

「米作りに関わるということ」..........田崎郁子(東南アジア地域研究専攻)

北タイ山中のカレンの村では、4月、雨季が本格的に始まる前に陸稲の種を播きます。畑には老若男女が集い、40人ものグループで、時には祭のように豚肉のご馳走が振舞われるため、人々は「1年に1度はこれをしなくっちゃ」と目を細めて出かけて行きます。

このように一ヶ所で一斉に村の人が働く風景は、今では陸稲の播種と脱穀の時にしか見られませんが、かつては除草も同じように大勢で取り組んだと言われています。近隣の村から来た若者も加わって、恋人同士がからかわれながら参加した農作業の楽しさが現在まで語り継がれています。

同時に、労働交換は若者が自分の労働力を一人前に足るものとして認められる場でもあります。私がいつも持ち歩いていたノートを出さず、ただただ同年輩の未婚女性と同じように一日中脱穀をした初めての日、それを見ていたおばさんが尋ねました。「あなたの労働はバサモ(私が居候させてもらっていた家)に返せばいいのかしら」。

「えっ。やったー!…そうか、ナルホド。…」今でもこの日のことは鮮明に覚えています。

作成日: 2007年10月29日 | 作成者: 事務局