アジア・アフリカ地域研究情報マガジン:メルマガ写真館

 

第141回 「メルマガ写真館」

「おいしい『ヒト』」
... 師田 史子(東南アジア地域研究専攻)

 

フィリピン、ミンダナオ島のハイウェイを走っていると、「『ヒト(hito)』売ってます」という看板を時折目にします。ミンダナオ滞在当初は「まさかの人肉!?」とぎょっとしましたが、今では看板を見るだけでよだれが出てきます。

 

ヒトの正体は川魚の「なまず」、ミンダナオに暮らす人々のソウルフードです。焼いてよし、揚げてよし、見た目とは裏腹な淡泊な味が魅力。フォークをつつきながら、時には熱々を素手でむしりながら一匹を2、3人で食べるのにちょうどよい大きさです。小骨が多いのが難点ですが、カラマンシというスダチのような果物の酸っぱい果汁を絞った醤油に付けて食べれば、思わず「ラミ(lami、おいしい)!」という言葉がこぼれてしまうはず。