「アジア・アフリカ地域研究情報マガジン」バックナンバー

メールマガジンバックナンバー 
■■■ June 2015 第144号 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数 1174 】■■■
____________今月号の目次______________

□「故地の文化がいきる街カラチ」 .............フィールド便り
□「インドネシア・ムスリマ(女性イスラーム教徒)の朝」
                  .........メルマガ写真館II
□お知らせ ......................入試情報、ASAFAS概要PDFなど
□講演会・セミナー情報 ...............アフリカ地域研究会など
□編集子より
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■フィールド便り
~みる・きく・ふれる:アジアとアフリカのフィールドから~
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「故地の文化がいきる街カラチ」
          .............水澤純人(グローバル地域研究専攻)

パキスタン南部のアラビア海に面する街カラチ、ここには大切に
受け継がれ続けていることがあります。それは、移住者の故地の
文化です。独立直後の1947年、首都であったカラチへはインド各
地からウルドゥー語を母語とするイスラーム教徒が数多くやって
来ました。元々、小さな港湾都市であったカラチは、新たな移住
者によって大きく膨れ上がると共に、パキスタンの中でウルドゥー
語を母語とする人が最も多く住む街となったのです。

ウルドゥー語は、北インドの在来語にペルシア語・アラビア語等
の外来語彙が混ざり合う過程で生まれた言葉です。北インドを中
心にインドのイスラーム教徒の共通語として使われてきたため、
イスラーム教徒が大多数を占めるパキスタンではインドからの分
離独立後、国語に指定されました。しかし、多くのパキスタンの
人にとってウルドゥー語は土地の言葉ではなかったため、ウル
ドゥー語を母語とみなす人の多くはインドからの新たな移住者に
限定され、かつ大半が移住先のカラチに集中するという状況が生
まれました。

カラチは私にとって特別な街です。それは、パキスタンの国語で
あるがゆえにウルドゥー語を学んできた私が、この言葉に愛着を
持つ人達に必ず出会える場だからです。現在、パキスタンのどこ
へ行ってもウルドゥー語は通じるものの、人々は各々の土地の言
葉に誇りを抱いています。一語で事足りると思っていた私は、こ
うした彼らの思いを十分に共有出来ていないことに気付き、反省
すると同時に、カラチへより一層関心を抱くようになりました。

カラチには名前から移住者の出身地が分かる地区があり、そこを
訪れると、他の街では聞いたことのない言い回しや、美しいイン
トネーションのウルドゥー語を聞くことが出来ます。ここで、新
天地を求めて何百・何千キロも離れた地からやって来た人々の生
い立ちを聞くと、彼らにとって言葉も、自分たちの来歴を象徴す
る大切な生きた文化であることを感じます。こうした移住者の故
地の文化は、レストランや一般家庭の料理を通し、味覚を通して
も伝え続けられています。インドのデリー出身者が多く住む街区
の一角では、彼らが当地から伝え続けてきた味を堪能できるレス
トランやデザート屋さんがひしめいていました。この内の一軒、
店前で炭火焼肉の煙をもうもうと出す店に入ると、様々に調理し
た肉料理が5皿(炭火焼き鶏肉、骨付きチキン・カレー、ペースト
状牛ひき肉のスパイス炒め、スパイス入りひき肉の棒状焼き2種)
も出てきました。これらを石焼窯で焼いた丸形の小麦パン(ロティ)
でくるみ、根菜サラダと共に、青唐辛子入りの酸味ソースを付け
て頂きます。夢中で食べながらふと周囲を見渡すと、他の客も皆
同様に、皿に向かって黙々と手を動かしています。お店を出る頃
には、移住者にとっての故地の文化は、話すことと食べることと
いう日常の延長によって引き継がれ続けているのではと妙に納得
すると同時に、この営みの反復が持つ大切さに改めて気付かされ
た思いでした。


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■メルマガ写真館II ~フィールドで出会う~
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「インドネシア・ムスリマ(女性イスラーム教徒)の朝」
          ............足立真理(グローバル地域研究専攻)

ムスリムの朝は早いです。日も昇る前、午前3時の礼拝のアザー
ンが聞こえる前に、マンディ(水浴び)の音が四方から聞こえて
きます。きっと礼拝前のウドゥー(清め)でしょう...

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(写真とエッセイの続きは上記HPでご覧いただけます)

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■お知らせ
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□ASAFAS概要PDF 更新しました!
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ASAFASの概要をPDFでご覧いただけます。ぜひご参照ください。
(2015年5月更新)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/dl/about/ASAFAS_gaiyo2015.pdf

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□ 入試情報  第1回試験、出願受付開始!
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◆平成28年度入試
第1回試験
(東南アジア地域研究専攻・アフリカ地域研究専攻・グローバル地域研究専攻)
出願期間:平成27年7月1日(水)~7月10日(金)午後5時必着
試験日程:平成27年7月25日(土)、26日(日)

◆平成28年度学生募集要項と出願書類のダウンロードができます

ダウンロードと入試詳細 >>
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/application

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■講演会・セミナー情報
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□研究会のご案内
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◆KINDAS第3回国際セミナー/第35回南アジア・インド洋世界研究会
日時:2015年6月30日(火)15:00~16:30
場所:京都大学本部構内 総合研究2号館4階 AA463
発表者:Nishaant Choksi
(University of Michigan/University of Tokyo/JSPS)
発表題目:"Santali script as a tripartite constellation:
ideologies of writing among adivasis in eastern India"

◆アフリカセンター研究会
第39回 KUASS
日時:2015年7月4日(土) 15:00~17:00
演題:Amos Tutuola and the Elusiveness of Completeness
演者:Francis B. Nyamnjoh 博士
(Professor, University of Cape Town, South Africa)
演題:"Amos Tutuola and the Elusiveness of Completeness"
発表要旨および詳細:
http://www.africa.kyoto-u.ac.jp/

◆アフリカ地域研究会
第212回 アフリカ地域研究会
日時:2015年7月16日(木) 15:00~17:00
会場:京都大学稲盛財団記念館3F中会議室
演題:変わりゆくアフリカの都市と農村
-ザンビア農村社会の変容と人びとの流動性
演者:伊藤 千尋
(横浜市立大学大学院都市社会文化研究科・客員研究員)

出版書籍 >>
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/book/072.html
詳細フライヤー >>
http://www.africa.kyoto-u.ac.jp/as/as210212.pdf

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□研究報告
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/shien/
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フィールド・ワークの報告書が続々とアップされています。
とてもホットな調査報告をぜひご一読ください。

新着学生レポートは以下のサイトへ
http://www.iasu.kyoto-u.ac.jp/

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□アフリカ地域研究専攻HP更新情報
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/africa_division/
───────────────────────────────
新着情報が続々とアップされています。ぜひご参照下さい。
たとえば・・・アフリカ専攻の一年間のサイクル
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/africa_division/university-life-ja

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□Twitter 情報
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京都大学アフリカ地域研究資料センター
  ・・・京都発のアフリカ研究関連情報を発信していきます。
http://twitter.com/Africa_Kyoto_U
http://twilog.org/Africa_Kyoto_U(ツイートをブログ形式で表示)

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□メールマガジンに対するご意見・ご感想お待ちしております。
http://form.mag2.com/gianoubima
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◆編集子より◆

今年の梅雨は良く雨が降ります。北インドも日本と同じく6月から
雨期が始まりますが、大体2ヶ月ほど続いた後は、ずっと晴れてい
ます。雨が苦手な私にとって、天気予報を気にする必要のない生活
はある意味で理想的な気候でした。ただし、雨期直前の酷暑の季節
だけは別でした。今年の南アジアは熱波でインド、パキスタンをは
じめ犠牲者が多数出る事態となっていますが、気温を下げてくれる
雨は本当に待ち遠しいものでした。日本の梅雨に待ち遠しさはあま
りありませんが、今月号の二人のエッセイから、梅雨の鬱陶しさを
少しでも忘れていただければと思います。(KN)
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◆このメールマガジンは、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究
研究科(ASAFAS)広報委員会、ASAFASキャリア・ディベロップメント
室、ASAFAS臨地教育支援センターより発行しています。

◆ご意見・ご感想を以下フォームよりお気軽にお寄せください。
掲載希望の記事や研究会の案内なども受け付けています。
宛先:http://form.mag2.com/gianoubima

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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
広報委員会
ASAFASキャリア・ディベロップメント室
京都大学学際融合教育研究推進センター・総合地域研究ユニット
臨地教育支援センター(IASU)
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/
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