South Asia and Indian Ocean Studies Seminar

第33回南アジア・インド洋世界研究会
/KINDAS国際セミナーのお知らせ

日時:2015年5月21日(木) 15:00~17:30
場所:京都大学本部構内 総合研究2号館 AA447

発表者1
中村沙絵(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科附属現代インド研究センター)
Nakamura, Sae (Center for the Study of Contemporary India, ASAFAS, Kyoto University)

タイトル
老いと扶養をめぐる臨床的現実とその社会文化的文脈――スリランカ・シンハラ社会の事例から
Socio-cultural-historical approach to the care interaction: analysis of care relationship in an old age home in Southwestern Sri Lanka.

発表概要
今回の発表は、2014年度に提出した博士論文『スリランカのヴァディヒティ・二ヴァーサ(高齢者の家)――施設における老いと扶養に関する人類学的研究』の議論をもとに、微視的な相互行為としてのケアと、それが生起する文脈との連関について改めて考えるものである。臨床現場のエスノグラフィーは、巻き込む/巻き込まれる、あるいは相手の思いや広義の情動を間主観的に掴んで関わりあうというような、人と人の「あいだ」で生じている事柄を描き出し、ケアの現場における生の実相に迫る一つの方途を示した。しかしこうした臨床的現実の記述において、それがおかれたより広い文脈が積極的に取り上げられることは少なかったといえる。本発表では、私にとって異質でもあった臨床現場におけるアクチュアリティを、しかし「文化」の実体化や一般化に陥ることなく、いかに記述することができるのかを考えてみたい。


発表者2
佐藤孝宏 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科附属現代インド研究センター)
Takahiro Sato (Center for the Study of Contemporary India, ASAFAS, Kyoto University)

タイトル
半乾燥地における農地利用の変容可能性―インド・タミルナードゥを事例として―
Transformability of agricultural land use in semi-arid region ‐ Case study in Tamil Nadu, India-

発表概要
年間降水量1000㎜以下の土地が国土の半数を占めるインドでは、農業集約化や、商品作物導入に灌漑水の確保が不可欠である。1990年代以降、農産物市場の拡大や個人用井戸の普及を背景として、一部の地域で商品作物栽培が拡大したが、その一方、灌漑水の確保が困難な地域では、耕作放棄が急速に進んでいる。本発表では、社会・生態システムがダイナミックな変化を示す、インド・タミルナードゥを事例として、農民がどのようにして自らの生計を確保しているのかについて、これまでの自身の研究を踏まえて議論したい。