South Asia and Indian Ocean Studies Seminar

第43回南アジア・インド洋世界研究会

【KINDAS】 第1回セミナー(共催:南アジア・インド洋世界研究会)
【日時】 2016年6月24日(金) 16:00~18:00
【場所】 京都大学本部構内 総合研究2号館4階 カンファレンスルーム(AA463)

【発表者】 拓徹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科附属南アジア研究センター)

【題目】 現代カシミールにおけるイスラームとは何か? ~その一般形をめぐる一考察~

【発表概要】

カシミール人のアイデンティティーをめぐる考察の一環として、今回はカシミールにおけるイスラームに光を当てたい。カシミール渓谷におけるイスラームは、19世紀前半のスィク教徒による支配とそれに続くドーグラー王族(ヒンドゥー教徒)による支配の時期を経て、いったんかなり弱体化したとされる(ローカルな聖者信仰ばかりが力を持っているような状態)。そんなカシミールでイスラーム復興の動きが兆したのは19世紀末のことだった。本発表では、まず19世紀末から現在に至るまでのカシミール渓谷におけるスンニー派ムスリムの主な宗教団体の展開について概観し、現在の各派の勢力を確認する。次に、様々な理由からカシミールで今も大きな影響力を持つマウドゥーディーの思想について、 とくに広く読まれているイスラーム概説書『Dīniyāt』を中心に、その思想の特徴を分析することによって、現代カシミール人が常識として持っているイスラームの考え方の特徴を考察してみたい。