<< フィールドからの絵葉書:アフリカ地域研究専攻



     





To: The Readers of ASAFAS Home Page, JAPAN





From: 荒木 茂 (アフリカ地域研究専攻)

  ナミビア北部オバンボランドの雨は夜、雷とともに降る。昨夜も3時ごろに1週間ぶりに、わずかではあるが恵みの雨が降った。当地の主作物であるトウジンビエは3月現在、12月に植えたものは結実期をむかえてすくすくと育っているが、是非とも雨が必要だ。
不定期な雨の降り方は、オバンボの人たちをしてトウジンビエの播種を3ヶ月間の長きにわたってなさしめている。トウジンビエは作物の中でも一番乾燥に強い作物といわれて、当地では砂地の平原のなかでもわずかに高い丘のところに決まって畑がつくられている。なぜわざわざ一番乾燥しやすいところにつくるのかなど、疑問がつきない。昨日も日中の日照りのなかで畑をほり、トウジンビエの根の分布と砂の層をみたりしていた。喉がかわくと、きまって農家で出してくれるスイカを半分ぐらい満喫する。スイカも砂地で水分をためこむ不思議な作物だ。

  テントの水漏れの心配での睡眠不足にもかかわらず、ニワトリと除草をはじめる家の人たちの気配に起こされる。丁度日の出前の朝焼け。どうせろくな写真にならないと思いながら日の出の瞬間にシャッターを切った。ふりむけば西の空には、明け方の雨を降らせた雲の水滴をバックに、半円形の虹がでているではないか。虹の大きさは何によってきまるのか、よく知らない。しかし、日の出という、光線が真横からさすことと、地平をさえぎるものがないことを考えるとこれ以上の虹はありえないのではないかと思う(飛行機の中から丸い虹をみたことがあったが、こんなには大きくなかった)。しかしそれも、太陽が雲にかくれるほんの10分たらずのことであった。

  オバンボの人たちはこんな虹を見ながら何を思っているのであろうか。