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From: 岩井雪乃 (アフリカ地域研究専攻)

 ちょっと古い絵葉書ですが、97年にはじめてタンザニア・西セレンゲティの村に長期滞在した時のものです。この時私は3ヶ月間テントで暮らしました。そしてその間にたくさんの人が中をのぞきにきました。

 テント暮らしについては、「マサイが(レイディングに)くるから危ない!やめろ!」とさんざんこの家の家族に反対されました。しかし、一人になれる空間がないことに耐えられそうもなかった私は家族の反対を押し切ったのでした。後日、本当にマサイの襲撃があったときには驚愕しました。「のどかな農村」には私の知らない一面があったのです。その翌年の調査からは家の中に入り、娘たちと一緒の部屋、一緒のベットで暮らすようになりました。その方が安全で涼しくて快適だし、横になっておしゃべりもできて楽しいことに気づいたのです。

 今、この写真をあらためて見ると、彼らと私の間にあるさまざまな関係を象徴している気がします。

 調査する側とされる側、先進国と途上国、去る者と残る者・・・

 私が日本人で、いわゆる「研究」をしている限り、これらの関係は「見えないテント」としておそらく存在しつづけるのでしょう。

 それではその一方で、家の中に入って暮らした私は、彼らと私を包摂する「見えな い家」のような関係を築いたのでしょうか?  その答えは、これからの生き方の中にあるように思います。