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アフリカ地域研究専攻
木村 大治



     





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From: 木村大治 (アフリカ地域研究専攻)

 2001年のカメルーン行での話です。

 フィールドからの帰りがけに,院生の服部志帆さん,安岡宏和君と一緒に,東南部の熱帯雨林の中にある「エコック・エダンバワ」と呼ばれる場所を訪れてきました。

 以前から地図を眺めていて気になっていたのですが,かつて歩いて調査した地域のはるか南,道の通ってない森の中に,燈台のマークのような奇妙な記号が描かれています。 その記号は地図の凡例に載っておらず,またその地図のどこにも同じものはないのです。

 ピグミーや農耕民の人たちに話を聞くと,それは「大きな岩だ」とのことでした。 とても大きくて,「登ると,下を飛行機が飛んでいるのが見えるんだ」 などと言う人もいました。 服部さんが「行ってみましょう」と言い,安岡君も同行することになりました。 (一緒にいた四方篝さんは,仕事の疲れから発熱して行けませんでした。)

 一番近くの村から20キロぐらいあるので,テント,食料を用意し, 農耕民とピグミーの男たち4人に案内を頼みました。 初日は途中の放棄されたキャンプに泊まり,二日目, 泥田のような川をいくつも超えながら,昼前にエコックにたどりつきました。

 それは本当に巨大な岩でした。高さは熱帯林の樹冠を超えており, 80メートルぐらいはあったでしょうか。 表面に木も草も生えていないドーム型の岩が,ただひとつ忽然と森の中にそびえ立っているのです。 帰り道はつらかったのですが, この奇観を,日本人ではおそらくはじめて訪れただろうという喜びを胸に抱いて歩きました。 前日泊まった場所にもう一泊し,三日目に村に帰りました。 服部さんは靴擦れをおこして最後はサンダルで歩いていました。

 この話はいずれ,ASAFAS ホームページの「インターネット連続講座」に きちんと書くつもりですので,楽しみにしていてください。

それでは。