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アフリカ地域研究専攻
丸山 淳子



     





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From: 丸山 淳子 (アフリカ地域研究専攻)

 お元気ですか。私は最近、調査集落のコーラスグループに参加するようになり、若者達と楽しい日々をおくってます。

 コーラスの練習は、毎日、集落のはずれのグラウンドで行われます。学校や町で覚えてきたゴスペルをみんなで何回か口ずさんだ後、前列に女の子、後列に男の子が並んでハーモニーをつくります。そして即興でステップを踏み、息が切れるまで歌い、踊り続けることになるのです。隣でサッカーに興じていた男の子達も参加し、そのまま夜の酒場へとくりだすことも。このグラウンドは若者達の「出会いの場」にもなっているようです。

 この集落の住人の多くは狩猟採集民ブッシュマンとして知られる人々で、1997年に現在の集落に移住するまでは、中央カラハリ動物保護区で暮らしていました。この保護区内の小学校に通い、そこで習ったボツワナの国語、ツワナ語のゴスペルに「はまった」若者達によって、コーラスグループはつくられました。活動が本格化したのは、大勢の人が一カ所に住むようになった移住後のことだそうです。

 写真はクリスマスの日。こうした行事には家々や集会所をまわって練習の成果を披露するのです。制服を着て歌うゴスペルは、ブッシュマンの伝統的な歌や踊りとは全然違うけれど、私たちのまわりには子どもから老人まで多くの人々が集まってきました。別々の地域から移住してきて、普段はあまり交流のない人々も、この日ばかりはみんな一緒に踊ったり歌ったり。慣れない移住村の生活に、最初に楽しみを見出したのは、このコーラスグループの若者達なのかもしれませんね。

 だけど歌って遊んで夜中に帰宅すると、翌朝はかならずお世話になっている家のじぃちゃんのお説教をきくことに。「最近の若者達は夜遊びばっかりや。ジュンコはここに勉強しに来たんとちゃうのか?」それでも日本から来た「最近の若者」は、夕方になると着飾った女の子達と連れだってグラウンドへ向かうのでした。それではまた。