久保田 和之

久保田 和之(南アジア・インド洋世界論講座) 「袖振り合うも多生の縁」

    バドミントン発祥の地はイギリス。そう思っていましたが、実はインドのプネーという都市が発祥であるという説も有力であるそうです。プネーは西インドの中心都市ムンバイに近いインドの文教都市のひとつで、一年を通して快適な気候を保ち、夏には避暑地としても活用されています。

    バドミントンがプネー発祥だとする説を僕に教えてくれたのは韓国人の友人です。彼と知り合ったのはフィールドワークで滞在していたプネーのシェアハウスです。シェアハウスにはその他にもプネー大学に留学している日本人学生のほか、韓国、アフガニスタン、イエメンからの留学生など様々な国から人が集まっていました。彼と日本人学生らと日夜レストランに食事に行ったりバドミントンをしたりしていました。(研究もしてましたよ、、)

    ある日彼と話していると、彼はバドミントンのナショナルチームに所属していたが、怪我でオリンピックには出場できず、今は引退して指導者になることにし、見分を広げるために世界中を旅しているとのことでした。プネーに来たのもバドミントンの発祥の地であるからやってきたといっていました。彼に研究はお金がかかるし、奨学金がもらえるかどうか分からない等と話していると、「カズ、何を言っているんだ。今自分がこうやってここに来たのも、自分で企業や会社のオーナーに直接掛け合って資金を出してもらったんだ。大切なのはパッションだ。正直な思いはとても強いんだ。」と言ってくれました。実際彼の助言のおかげで、調査の申し込みが直前になってしまうので諦めていた人物に自分の思いをパッションを込めて(?)メールを送ると快諾してくださり、無事調査が進みました。これからの研究及び人生においても正直に思いを表現していこうかと思います。

    インド独立運動を率いたガーンディは真理把握(サティヤグラハ)を掲げましたが、実は真理をあらわすサティヤという言葉には真実、正直といった意味もあります。インドの地で彼に出会えたのは何かのご縁でしょうか。
    【「アジア・アフリカ地域研究情報マガジン」第153号(2016年3月)「フィールド便り」より引用】
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