臨地教育研究による実践的地域研究者の養成

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

■■■■■■■■■■■■■■■■■■ August 2007 第50号 ■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/ml.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数976】■■

このメールマガジンは、「魅力ある大学院教育」イニシアティブ
のもとで実施中の「臨地教育研究による実践的地域研究者の養成」
プログラムにより発行されています。
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___________今月号の目次_________________

□「フィールドで叱られる」.............................フィールド便り
□「砂に埋もれた歴史のかけら」.........................メルマガ写真館
□院生の問題発見型フィールドワーク実施報告............フィリピン、タイ、ケニア、
....アラブ首長国連邦、バングラデシュ人民共和国、ザンビア、ナミビアなど
□編集子より
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■フィールド便り・第5便

「フィールドで叱られる」.....石本雄大 (アフリカ地域研究専攻)

「イシモト!あんたは何で邪魔ばかりするんだ!」

私がブルキナファソで下宿させてもらっていた家での出来事です。
料理の配膳を終えた食器に手を伸ばす私を、主婦のSさんが大声で
叱りました。材料に始まり、穀物の糠をとった際、それを製粉した
際に重さを量り、そして調理終了後に器へ盛った食事をも計測しよ
うとした私に、ついに堪忍袋の緒が切れたのです。

そのとき私は、食事調査をしていました。毎年の降水量が劇的に変
化する、自然環境の不安定なサヘル地域において、つまり食料生産
が容易でない土地で、人々が「何を」「いつ」「どれだけ」消費し
ているのか知りたかったのです。

しかし調査の初年度には、ほとんどの世帯で食事調査を拒否されま
した。知らない研究者に食事を量られるなどもっての他という感情
は、考えてみればあたりまえです。振り返ると当時、Sさんを含め
現地の女性は、誰しも私と同じ空間を共有してくれませんでした。
例えば、大きな木陰にて男女が涼んでいるところに私が入ると、気
づいたときには男性ばかりになっていることがよくありました。私
がSさんと交わす言葉といえば、朝の挨拶と、食事を渡され「どう
ぞ召し上がれ」「ありがとう」程度の会話で、間に大きな距離を感
じていました。

フィールドワークを開始した当時に比べれば、現在では様々な調査
をさせてもらえるようになりました。冒頭の言葉も、怒りの気持ち
から発せられた言葉には間違いないのですが、同時にお互いの距離
が縮み始めたことを示す言葉でした。怒られた直後には落ち込み、
自分中心の振る舞いを大いに反省もしましたが、いま思えばそれは、
ようやく本気で叱ってもらえるようになった瞬間でもあったのです。

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むことができます。
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■メルマガ写真館......フィールドでの写真からはじまるコラム
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「砂に埋もれた歴史のかけら」
   ....................首藤英児(東南アジア地域研究専攻)

深閑とした美しい砂浜。数日ぶりに霧が晴れたこの日、夜には
月が輝きました。
ここは「地の果て=Land's End」と呼ばれるイギリス最西端の
岬の近く、ポースカーノという寒村の浜辺です・・・・・・・・

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(写真とエッセイの続きは上記HPでご覧いただけます)

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■院生の問題発見型フィールドワーク実施報告...PDFファイルで掲載しています
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■問題発見型フィールドワーク実施報告リスト
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/list/list_fw_2006.html

□福田晋吾
「フィリピン靴産業集積地における生産構造に関する研究」
【派遣先国】フィリピン

フィールドに出向く前に私が読んだいくつかの先行文献は、WTOの
影響について、経済のグローバル化の文脈と関連させて論じている内
容が多かった。事実フィリピン靴産業に関する統計を見ると・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/pdf/report/fukuda_1.pdf

□日向伸介
「タイにおける国王のイメージ形成とダムロン親王」
【派遣先国】タイ

本研究は文献を中心に行なうので、フィールドワークは主に図書館や
一般書店での資料収集となった。チュラロンコーン大学やタンマサー
ト大学といったバンコクの主要大学や国立図書館を利用した・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/pdf/report/hinata_1.pdf

□堀拔功二
「湾岸アラブ諸国における国家統合力学の解析」
【派遣先国】アラブ首長国連邦、バハレーン王国、カタル国

今回のフィールドワークにおいて、UAE におけるウルーバが国家の枠
組みの中で、どのように変容し、政治的・社会的な問題として焦点化
されているかを検討した。ウルーバは、アラビア語・・・・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/pdf/report/horinuki_1.pdf

□吉川みな子
「新・再興感染症対策に関する研究」
【派遣先国】バングラデシュ人民共和国、シンガポール共和国、
           インドネシア共和国

2006年9月に実施した予備調査ではシンガポールに関する情報収
集だけでなく、東南アジア地域との比較力を養う目的で、バングラデ
シュ人民共和国首都ダッカを訪れ・・・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/pdf/report/yoshikawa_1.pdf

□朝田郁
「スワヒリ地域のイスラーム社会におけるアラブ」
【派遣先国】ケニア、タンザニア

今回のフィールドワークは予備的な位置づけで実施期間も約1ヶ月と
短かったが、調査の目的として研究テーマの明確化とフィールドの選
定を設定しており、次に述べるような一定の成果が得られた・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/pdf/report/asada_1.pdf

□中山裕美
「『難民の人間安全保障』実現と自立支援政策」
【派遣先国】ザンビア

今回のフィールドワークは予備調査であり、調査予定候補地の視察を
おこなった。まず帰還を控えた難民が一時的に滞在するTransit Centre
において、UNHCRによる帰還手続きの現場に立ち会った・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/pdf/report/nakayama_1.pdf

□手代木功基
「ナミビア、ダマラランドにおける自然環境と人々の生活の関わり」
【派遣先国】ナミビア

調査はナミビア中央部のKhorixas地域、Renosterkop村で行った(写真1)。
この半乾燥域の小さな村にはダマラの人々が主に住み、定住して牧畜業で
生計を立てている。周辺の植生はモパネサバンナと呼ばれ・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/pdf/report/teshirogi_1.pdf

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◆編集子より◆お陰さまで、このメールマガジンは今回で第50号を
迎えました。フィールドで頑張っている大学院生の姿を、より多くの
人に知ってもらいたいと願いながら編集しています。調査熱心なあま
り、現地で相手をしてくれる人を怒らせてしまう姿、海辺に立って歴
史に思いを馳せる姿、自らの経験に重ね合わせて読んで頂ける方も多
いのではないかと思います。読者の皆さまからのご感想、ご意見をお
待ちしています。
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作成日: 2007年9月26日 | 作成者: 事務局
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