臨地教育研究による実践的地域研究者の養成

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

第54号(2007年12月配信)「メルマガ写真館」

「光る職人技」..........福田晋吾(東南アジア地域研究専攻)

フィリピンの首都マニラ郊外にマリキナという靴産業で有名な町があります。靴好きで有名だったイメルダ夫人のおかげで一時は名を上げ、一世を風靡しましたが、近年は経済のグローバル化の影響を受け、安い外国製品が大量に流入し、産業は危機的な状況にあります。

そうはいっても、今でもたくさんの靴工場があり、職人達による手作りの靴が作られています。この写真はある小さな靴工場でサパテロ(靴職人)達が仕事をしているところです。彼らの職人技が、フィリピンの靴産業を支えています。一つひとつ素材の状態に合わせて微妙なさじ加減で調整する技術が、履き心地や丈夫さといった目に見えない品質に大きな影響を与えているのです。

職人達は出来高払いで給料を受け取りますが、目いっぱい働いてもなお物価の高いマニラでは生活は楽ではありません。長年の努力と経験による職人技を備えた彼らのような人々が正当に評価され、ゆとりのある生活を送れる日が来ることを願わずにはいられません。

作成日: 2007年12月17日 | 作成者: 事務局