臨地教育研究による実践的地域研究者の養成

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

第63号(2008年9月配信)「メルマガ写真館」

「記念に一枚!」... 宮崎由伊(東南アジア地域研究専攻)

カンボジアの農村でフィールドワークをしていた折、何かにつけて「記念に一枚!」と呼ばれては、村の写真屋さんに変身していました。村で生活していると、「記念」がいっぱいあります。仏教儀礼、結婚式、出産、村祭り、入学式、大きな魚が取れた日…普段は何気なく楽しみ何気なく終ってしまうイベントを、写真として残しておくことは、カメラを持たない彼らにとってこの上ない喜びのようです。家を訪ねると、自分の結婚式の写真などをニコニコしながら見せてくれます。カンボジアの写真は防水加工ではないので、雨に濡れると何がなんだか分からなくなってしまいますが、それでも彼らは大事そうに持っているのです。

写真の女性は、実は2人の子持ちの30代。孔雀の衣装を着ています。私の調査地では、イルカウォッチングやNGOの活動を見に来る観光客のために、彼女や学校に行っていない子どもたちが伝統舞踊を練習してきました。そしてこの日は、郡の役人や他村の人たちに練習の成果を初めて見せるという、まさに晴れ舞台だったのです。彼女は夫を亡くし、洋服や雑炊を売って生計を立てています。忙しいにもかかわらず、貴重な時間を踊りの練習に費やすのは、「来てくれた観光客に喜んでもらって村の評判をよくして、将来もっと沢山の人に来てほしい。村が発展してほしいから。」だと言います。他の子どもたちも、日中は農作業でくたくたになりますが、夜になると練習場に集まり、指先まで気を抜かずに踊ります。私が村にいた頃は、まだ練習を始めて3ヶ月ほどしか経っていませんでした。次に村を訪れるときには一体どれほど魅せてくれるのでしょう、今から楽しみで仕方ありません。

作成日: 2008年9月12日 | 作成者: 事務局