アジア・アフリカ地域研究情報マガジン:メルマガ写真館

第59回 「メルマガ写真館」

「日本から一番遠い、クリスマス」...園田浩司(アフリカ地域研究専攻)

 

 

熱帯雨林に暮らす狩猟採集民、バカの友だちとクリスマスを祝ったときのこと。

 

お祭りの前日、子供たちと獲物を探しに森に入りました。兄を先頭に、弟たちは鍋やらバナナやらをかごに詰め、後を追います。しかし獲物は見つからず、日が暮れ、夜が明けて、私たちは小川のほとりで休息していました。森の中では写真のように、みな雑魚寝です。

 

「いいこと教えてやろう。」

 

友人は下唇を左手で引っ張ると、「ピイイ」と口笛を鳴らしました。

 

「何だ?」

 

「いいから」

 

鳴らしては何かを確かめるように、彼は聞き耳をたてています。
すると、奇妙なことが起こりました。

 

「ピイイ」

 

小川の向こうからでした。同じ音。はっきりと。

 

「カニだよ。僕につられてこっちに来るぞ」

 

その後、このカニを食べてようやく彼を信じました。
鍋のふたを開けると、湯気にまぎれてカニが鮮やかです。
土いろと、緑の森のクリスマスにも、紅いいろが灯りました。