アジア・アフリカ地域研究情報マガジン:メルマガ写真館

 

第147回 「メルマガ写真館」

「海辺のオアシス」
... 中野 真備(東南アジア地域研究専攻)

 

 海で生きる人びとにとって何より大切なものは、淡水です。インドネシア・スラウェシ島の東に位置し、陸上に半分、海上に半分の家屋が建つこの村に、水道管が設備されたのはごく最近のことで、淡水の供給は十分ではありません。海側に住む人びとの多くは、小さな舟を漕いでマングローブの森を抜け、この川に集まります。ここで洗濯や歯磨き、水浴びをし、日々の生活用水を汲んでいきます。特に漁に出る人びとの間では、近くの島じまの川や湧水などの水場の情報も共有されています。季節を問わず利用できる、この綺麗な水は、海のオアシスとして人びとの生活を支え、あるいはつくりあげてきたのでしょう。この日も、子どもたちのあげる水しぶきと歓声に、水場は笑顔であふれていました。