臨地教育研究による実践的地域研究者の養成

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

■■■■■■■■■■■■■■■ October 2007 第52号 ■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/ml.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数985】■■

このメールマガジンは、「魅力ある大学院教育」イニシアティブ
のもとで実施中の「臨地教育研究による実践的地域研究者の養成」
プログラムにより発行されています。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/index.html

___________今月号の目次_________________

□「歯を使う喜び」.................................フィールド便り
□「米作りに関わるということ」.....................メルマガ写真館
□院生の問題発見型フィールドワーク実施報告
              .............タイ、スリランカ、ケニア
□編集子より
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■フィールド便り・第7便

「歯を使う喜び」..............................中村香子(特任助教)

フィールドワークの醍醐味のひとつは、その土地の人々と同じ食生活を
することでしょう。「『毎食バナナ』という生活を半年続けた」とか
「おかずは干し魚のみ、それもなければとにかく寝る」・・・。
数々の「武勇伝」を耳にします。かく言う私も「2週間、食事はミルク
だけ」という経験をしました。私の調査地の人々は牧畜民なので、食事
の基本はミルクです。これにトウモロコシ粉を購入して補い、大切な家
畜の肉を食べるのは特別な機会だけです。

その年は降雨に恵まれ、大地は草の海となりました。満腹な牛たちはほ
とんど無限にミルクを出し、人々はミルクだけで満腹になるので、トウ
モロコシ粉を買いません。朝から晩まで何回となくミルクを飲み、夜中
にも「ミルクを飲みなさい」と起こされる。「乳飲み子」そのものの食
生活です。頭の中は食べ物の妄想のみとなり、調査どころではありませ
ん。5日目ごろから「歯が使いたい・・・」と、うなされはじめた私は、
どこかの家でヤギが死ぬことを心から願う悪魔と化していきました。

しかし10日ほど経つと、欲望に変化が生じてきました。「今は、○○
の木で燻したヒョウタンに入ったミルクを飲みたい」「1日だけ寝かせ
た『絹ごし豆腐のような』ヨーグルトをつるりと食べたい」「5日寝か
せた『濃厚なチーズケーキのような』ヨーグルトをこっくりと食べたい」
といった具合に、「ミルク」が単調な「ミルク」でなくなり、欲望が細
分化してきたのです。人間の適応力というものを身をもって実感し、
「ミルク」の奥深さについても知ることができた瞬間でした。

そんな矢先、お世話になっていた家族が「よく頑張った!」と言ってヤ
ギをつぶしてくれました。彼らは何もかもお見通しだったのでしょうか?
それにしても、かぶりついた焼き肉のおいしかったこと!この世のもの
とも思えませんでした。「歯を使う喜び」をまさに噛みしめた私です。
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このメールマガジンのバックナンバーは、こちらのページから読
むことができます。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/mls/list/bn.html

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■メルマガ写真館......フィールドでの写真からはじまるコラム
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「米作りに関わるということ」
....................田崎郁子(東南アジア地域研究専攻)

北タイ山中のカレンの村では、4月、雨季が本格的に始まる前に
陸稲の種を播きます。畑には老若男女が集い、40人ものグルー
プで、時には祭のように豚肉のご馳走が・・・・・・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/mls/phots/2007_10.html
(写真とエッセイの続きは上記HPでご覧いただけます)

↓「メルマガ写真館」バックナンバー
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■院生の問題発見型フィールドワーク実施報告...PDFファイルで掲載しています
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■問題発見型フィールドワーク実施報告リスト
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/list/list_fw_2006.html

□宮内春菜
「『タイ 国民国家形成期(1868‐1932年)における女子教育の展開』に
関する研究」
【派遣先国】タイ

現在、タイの女性に対して我々が抱くイメージの一つに、家庭外で活発
に活動し社会的評価を得ているというものがある。実際、労働参加や教
育機会等を指標にした女性の地位の国際的な相互比較で、タイは他の東
南アジア諸国の上位に位置する。勿論、これは・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/pdf/report/miyauchi_1.pdf

□中村沙絵
「現代スリランカにおける老人ホームとその近隣社会」
【派遣先国】スリランカ

この研究の目的は、南アジア地域における積極的な老いの姿や老人介護
のあり方を見出すことだ。しかし、スリランカにおける老人研究の蓄積
が非常に限られていることから,まずは基本的なサーベイが必要である
と考えた。老人一般に関するサーベイは困難・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/pdf/report/nakamura_1.pdf

□山根裕美
「東アフリカ、ケニア・タンザニアにおける野生動物、特にヒョウと
地域住民に関する研究」
【派遣先国】ケニア・タンザニア

本研究は、自然・野生動物保全と地域住民が直面している問題を明らか
にし、地域住民の生活を尊重した自然・動物保全を考えることを目的と
する。特に観光客に人気の高い、ヒョウ、ライオンなどといった大型肉
食獣を事例に・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/pdf/report/yamane_1.pdf

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◆編集子より◆2年目の秋も深まり、本プログラムもいよいよ佳境にさしか
かって参りました。12月15日には、これまでに派遣された院生のみなさん
によるフィールドワークとインターンシップの報告会を実施いたします。
この報告会は公開で行われます。時間は13:30〜17:30、場所は
京都大学吉田キャンパス工学部4号館4階会議室(AA447)です。
アジアとアフリカの多くの学生が意見交換ができるとてもよい機会になると
思います。みなさま、是非ご参加ください。報告会のプログラムなど詳細は
次号のメールマガジンでご案内いたします。(N)
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掲載希望の記事や研究会の案内なども受け付けています。
宛先:areainfom@areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp

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編集:「魅力ある大学院教育」事務局
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作成日: 2007年9月26日 | 作成者: 事務局
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