臨地教育研究による実践的地域研究者の養成

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

■■■■■■■■■■■■■■■ February 2008 第56号 ■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/ml.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数997】■

___________今月号の目次_________________

□「国境のフィールドから」.........................フィールド便り
□「日々是革命」...................................メルマガ写真館
□問題発見型フィールドワーク実施報告
                            .......日本、エチオピア、マダガスカル
□編集子より
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■フィールド便り・第11便

「国境のフィールドから」
...............姜明江(アフリカ地域研究専攻)

みなさんは歩いて国境を越えたことがありますか?海に囲まれた
日本ではその機会がないのは当然ですが、国どうしが隣り合わせ
のアフリカでは、陸路で国境を越えることがよくあります。

私は南部アフリカに位置するザンビアという国で調査しています。
フィールドの村は隣国マラウィとの国境沿いにあります。

このような場所に住んでいると、ザンビアのある町に出かけるに
しても、一旦マラウィを通り抜け、目的地を目指すほうが便利な
ことがあります。初めてそのルートを使ったのはザンビア人の友
人と移動したときでした。そのルートはマラウィに入るときには
何もない田舎道なのですが、マラウィからザンビアにもどるとき
に出入国管理局の事務所があります。私はそのときパスポートも
マラウィのビザも持っていなかったため、「だめだよ、私はいけ
ないよ。違う道を行こう!」と友人を引きとめたのですが、友人
は笑って「ノープロブレム!」「なにをビクビクしているの。」
と大きく口をあけて笑うばかりです。「国外退去で調査終了・・・」
「不法入国、手錠をかけられ、監獄行き!?」などという恐ろし
い想像が頭の中を走馬灯のように巡ります。「じゃあ、ここで待っ
ていなよ」と友人は私を残して事務所の建物に消えていきました。
友人が戻ってくるまでの間、冷や汗が流れ、心臓はドキドキし、
どれだけ長く感じたことか。

結局、職員にとがめられることもなく、私たちは国境を越え目的
地につきました。なんでもこの近辺に住んでいる人は生活の利便
が考慮され、外国人であってもパスポートチェックなしで国境の
行き来が認められているそうです。その後、私も国境を越える機
会が増えましたが、何回経験しても、国境を歩いて越えるときに
は不思議な気分になります。私がよく通る国境は、人々の行きか
う活気にあふれたところです。買出しの男性たちは汗だくで商品
を運んでいます。闇両替の若者たちに物売りの子供たちも元気いっ
ぱいです。彼らにとっては、「国境」は生活の糧を稼ぐ場所でし
かないのかもしれません。私にとっても以前はパスポートやビザ
が必要な場所だったのに、「ここに住んでいる」というだけで認
識が変わりました。

そして、別の国では誰かの決めた国境のせいで争いがおこり、家
族が引き裂かれ、命を落とす人たちがいるのも事実です。「国境っ
てなんだろう」、少し複雑な気分になりながら、今日も私は国境
をまたいで調査に向かいます。
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このメールマガジンのバックナンバーは、こちらのページから読
むことができます。
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■メルマガ写真館......フィールドでの写真からはじまるコラム
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「日々是革命」
....................平野淳一(東南アジア地域研究専攻)

写真は、イランの首都テヘランにて撮ったもので、イスラーム革
命を標榜する看板です。1979年にイランでイスラーム革命が勃発
したことは、良い意味でも悪い意味でも・・・・・・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/mls/phots/2008_2.html
(写真とエッセイの続きは上記HPでご覧いただけます)

↓「メルマガ写真館」バックナンバー
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■問題発見型フィールドワーク実施報告...PDFファイルで掲載しています
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■問題発見型フィールドワーク実施報告リスト
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/list/list_fw_2006.html

□泉直亮
「肉用牛農家の家畜飼養方針と開発,市場のかかわり」
【派遣先国】日本(岩手県)

本研究では、全国農業協同組合連合会岩手県本部(以下、全農いわて)
が主導する短角牛の繁殖用メス牛の改良方針と、短角農家の改良方針
が対立するところに着目し・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/pdf/report/izumi_1.pdf

□田中利和
「エチオピア農耕社会における人」
【派遣先国】エチオピア

本研究の目的は、オロモの人々と家畜との間にみられる様々な関係に
焦点をあて、在来の有畜農業システムを畜産学、農学、人類学、歴史
学等の・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/pdf/report/tanaka_1.pdf

□西本希呼
「マダガスカル国内の言語の多様性によって生じる諸問題」
【派遣先国】マダガスカル共和国

派遣者はすでに2006年に約3ヶ月間マダガスカル、また、インド
ネシアで約2週間の調査を行ってきた。(なお、派遣者は全ての調査
先で、現地の人との交流は現地語で行っている。)研究対象は、・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/pdf/report/nishimoto_1.pdf

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◆編集子より◆「魅力ある大学院教育イニシアティブ」プログラムも残す
ところあと1ヶ月です。皆様、ご愛読どうもありがとうございます。
さる2月8日には、本プログラム集大成のとして公開シンポジウム『研究と
実践を架橋する地域研究の未来−国際社会の現場からの提言−』を実施しま
した。国際社会の最前線でご活躍されている方々をまじえて、研究と実践に
ついての有意義な意見交換ができました。また、本プログラムにより派遣さ
れた院生によるフィールドワークとインターンシップの成果をまとめたポス
ター発表の数々も、多様なトピックでたいへん好評でした。ご参加いただい
た皆様、どうもありがとうございました。(N)
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◆このメールマガジンは、「魅力ある大学院教育」イニシアティブ
のもとで実施中の「臨地教育研究による実践的地域研究者の養成」
プログラムにより発行されています。
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研究会の案内なども受け付けています。
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編集:ASAFASフィールドワーク・インターンシップ支援室
発行:「魅力ある大学院教育」イニシアティブ
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作成日: 2008年5月29日 | 作成者: 事務局
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