臨地教育研究による実践的地域研究者の養成

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

第49号(2007年7月配信)「メルマガ写真館」

ある昼下がりの過ごし方」..........戸田美佳子(アフリカ地域研究専攻)

カメルーン東部州の熱帯雨林帯の昼下がり。男たちはゲームをしながら、"Banjo"と呼ばれる小屋で、暑い時間をゆっくり過ごしています。

写真中央の男性と一緒に写っているのは、アフリカではよく見る手回しの車椅子。彼と共に村中を動き回って3年、すっかり赤茶色です。彼はこの車椅子を手に入れるため、遠くの町に要望書を送り続けました。そして5回目の要請書を出したとき、はじめて彼の元に車椅子が送り返されてきました。

車椅子と出会う前の15年間、彼は家から出ることはなかったと語っています。今では、村の中心まで遊びに行くのはもちろん、5km先の商店までひとりで買い物に行っています。

しかし、もし村に手紙を書ける人がいなかったら?手紙を届けてくれる車が通らなかったら?彼がすぐ諦めてしまっていたら?そして、この村の誰も車椅子の存在を知らなかったら?これらの条件が揃わなければ、彼の昼下がりは、今とは違ったものになっていたでしょう。

 

 

作成日: 2007年7月24日 | 作成者: 事務局