アジア・アフリカ地域研究情報マガジン:メルマガ写真館

 

第149回 「メルマガ写真館」

「金色の宝物」
... 大塚 亮真(アフリカ地域研究専攻)

 

私はウガンダ共和国のブウィンディ原生国立公園の中でマウンテンゴリラを追いかけて、うんちを集めています。

 

新鮮なうんちを集める上で困難な状況は3つあります。大雨が降っているとき、ゴリラが深い茂みの中で散らばって採食・休息しているとき、そしてゴリラが高い木の上に登っているときです。例えばゴリラが木に登っているとき、30 - 40m以上の高さからうんちを落としてくるときがあります。必死に誰がうんちをしたのかを確かめようと下から観察していても結局誰がうんちをしたのかわからなくなってしまうことも少なくありません。また、そんなときに限ってさらに上から別の個体がうんちかおしっこをしてくるのです。これは我々の間ではゴリラシャワーと呼ばれています。私もゴリラシャワーを何度か浴びせられましたが、けっして気持ちの良いものではありませんし、病気に感染する恐れもあるのでおすすめはできません。

 

そんな中、数日間なかなかうんちをゲットできなかった個体のおしりから、むにゅむにゅっとうんちが出てくるのをこの目で見た瞬間、たまらなく嬉しくなるのです。できたてほやほやのうんちは、森の中に差し込む木漏れ日に照らされて、ほんとうに金色に光輝く宝物のように見えます。しかし喜びも束の間、残酷にも観光客が気づかずにぐしゃっと踏み潰してしまったり、写真のように子どもゴリラに食べられたり、お尻から引っ張ってその辺に捨てられたりすることもあります。

 

うんちが金色の宝物のように見えている人やゴリラはあまりいないのかもしれません。それでも金色の宝物はゴリラに関する様々な情報を私たちに教えてくれます。さあ、今日も宝物を求めてゴリラのいる森へ。