アジア・アフリカ地域研究情報マガジン:メルマガ写真館

 

第150回 「メルマガ写真館」

「標高0mの湿地にコーヒー農園!?」
... 加反真帆(東南アジア地域研究専攻)

 

 東南アジア、特にスマトラ島やボルネオ島の熱帯泥炭湿地林は、この40年で大きく姿を変えました。森林は開かれ、アブラヤシやアカシア一面に変わっています。アブラヤシからとれるパームオイルはスナック菓子や、洗剤、加工品に使われる植物油脂であり、私たちも間接的に熱帯泥炭湿地林を利用しています。
 しかし、全てがプランテーション化されているのではなく、現地の住民は自らの知恵で変わりゆく地域社会に合わせ、収入になる作物を栽培しています。
 この夏、私はスマトラ島の東沿岸部、マラッカ海峡に浮かぶ島で、泥炭湿地で育つリベリカコーヒーと出会いました。しかし、実際にはリベリカ種(注)という名を知らす事なく、ひっそりと他の品種にまぜられて世界に流通しているようです。
 「私達が知らないけれど日々口にしていて、現地の環境や住民の生活を左右する作物は溢れているのかもしれない。地域研究を通して住民から学ぶことが沢山ある」と感じたスマトラ島への訪問でした。