「アジア・アフリカ地域研究情報マガジン」バックナンバー

メールマガジンバックナンバー 
 ■■■ October 2012 第112号 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数 1136】■■■■■■

________今月号の目次_________________

□「戦争景気に咲く花は」........................フィールド便り
□「沈黙の保ちかた」..........................メルマガ写真館II
□お知らせ............................公開講座、各賞の受賞など
□アフリカ地域研究資料センター情報............関連HPのご案内
□セミナー情報
□編集子より
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■フィールド便り
~みる・きく・ふれる:アジアとアフリカのフィールドから~
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「戦争景気に咲く花は」
              ............川口博子(アフリカ地域研究専攻)

ウガンダ北部にはアチョリという人びとが暮らしている。その中心
都市グルの北に位置するパティコ・アジュールという地域には、
1800年以前から、エジプトからナイル川を遡ってやってきたア
ラブ人の奴隷商人が設けた基地の跡地がある。1872年、イギリ
ス人のサミュエル・ベイカーが奴隷商人を追い出した後、この地は
イギリス植民地となった。現在、この跡地は「ベイカーの砦」と呼
ばれている。

ウガンダ北部では、1986年から20年以上、深刻な武力紛争が
続いた。紛争が終わった今、この地域は国際的な援助を受けながら
復興への道を歩んでおり、多くの外国人がやってくる。そして、こ
のベイカーの砦は、グルを代表する観光地として草原にそびえ立つ
「カネのなる木」となり、騒動の種も落としている。

アチョリ社会には複数のクランをまとめる世襲の首長がいる。この
砦の周辺を統括している首長の家は砦の真横にあり、首長はその一
帯の土地はすべて自分に属すると主張している。しかし、別の人物
もその一角に権利を主張している。彼の父は1960年代に政府の
労働者として、政府所有であった土地に移住し、空いていた土地に
耕作地を拡大していったという。当時は、土地に関して争う相手も
なく、彼の親族はそこに住み続けてきた。事の発端は、彼がホテル
建設を計画したことにある。砦の観光化による首長と彼の一族の対
立は地域住民を巻き込み、暴力沙汰や噂の流布といった騒動が芽吹
いている。

彼の一族と首長の間では、調停がくりかえされている。土地問題で
は、裁判所の決定に沿って強制執行が行われる場合もあるが、首長
の権威も無視できないし、人びとの同意なしにも話は進まない。地
域住民の多くは首長を支持し強硬な発言をすることもあるが、集ま
りが終わると、議題は棚上したまま別の話題に花を咲かせる人びと
の姿も見られる。雨季特有の驟雨に遮られながら、話し合いは続い
ている。

まもなくフィールドには乾季がおとずれる。乾季の草原を焼く炎の
ように、この騒動が一掃される日は来るのだろうか。
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このメールマガジンのバックナンバーは、こちらのページから
ご覧いただけます。
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■メルマガ写真館II ~フィールドで出会う~
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「沈黙の保ちかた」
             ........近藤有希子(アフリカ地域研究専攻)

写真に写っているのは、ルワンダ共和国南部州にあるカトリック
教会のひとつです。1934年、ベルギー人によって建てられま
した。この大きくて立派な教会は紛争後に建て直されたものです
が、その右手には、それ以前に使われていた小さな教会が、いま
もひっそりと佇んでいます・・・

http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/2012_10.html

(写真とエッセイの続きは上記HPでご覧いただけます)

↓「メルマガ写真館」バックナンバー
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/phots_list.html


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■お知らせ
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□京大アジア・アフリカセミナー「東南アジアの社会と文化」
 4回連続公開講座(2012年11月) ◇申込受付中◇
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東南アジアの国々には、多くの日本人がビジネス、観光、援助
活動など、さまざまな目的のために訪問したり、滞在していま
す。本講座では、東南アジアの国々で営まれている社会生活と、
その背景にある文化について幅広く情報を提供し、東南アジア
諸国の人々とコミュニケーションをはかる際に、何らかのかた
ちで役立てていただくことを目的としています。


会場:キャンパスポート大阪(大阪駅前第2ビル4階)
定員:30名
受講料(教材費含む):10,000円(税込、4講座)
  ※1回ずつの受講も可(1講座2,500円)
主催:特定非営利活動法人関西社会人大学院連合

詳細と申込>>
http://kansai-seminar.com/courses/view/111


第1回目 2012年11月2日(金) 19:00~20:30
テーマ:インドネシアの社会と文化
講師:杉島 敬志(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

第2回目 2012年11月9日(金) 19:00~20:30
テーマ:フィリピンの社会と文化
講師:清水 展(京都大学東南アジア研究所教授)

第3回目 2012年11月16日(金) 19:00~20:30
テーマ:タイの社会と文化
講師:片岡 樹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科准教授)

第4回目 2012年11月30日(金) 19:00~20:30
テーマ:ベトナムの社会と文化
講師:伊藤 正子(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科准教授)

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□各賞の受賞
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◆中溝和弥先生(ASAFAS附属現代インド研究センター客員准教
授)の著書『インド 暴力と民主主義』が第24回「アジア・太
平洋賞特別賞」を受賞しました.
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/research/
award01.html#nakamizo


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□入学試験関連情報
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平成25年度の入学試験で出題した専門科目問題をホームページ
に掲載しました。
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/exam/past.html


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■京都大学 アフリカ地域研究資料センター 情報
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□関連ホームページのご案内
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アフリカ地域研究資料センターのメンバーが代表を務める下記
の研究プロジェクトでは、これまでの活動や今後のお知らせな
どの情報をホームページで発信しています。

●JST-JICA SATREPS
「カメルーン森林―サバンナ持続性プロジェクト」
(プロジェクトリーダー 荒木茂教授)
http://www.fosas.africa.kyoto-u.ac.jp/


●日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(S)
「アフリカの潜在力を活用した紛争解決と共生の実現に関する
 総合的地域研究」
(研究代表者 太田至教授)
http://www.africapotential.africa.kyoto-u.ac.jp/

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□Twitter 情報
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京都大学アフリカ地域研究資料センター
・・・京都発のアフリカ研究関連情報を発信していきます。
http://twitter.com/Africa_Kyoto_U


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■セミナー情報....10月のおもな地域研究関連の研究会情報
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[2012.10.26] Kyoto International Dialogue on Democratization,
Law and Women in the Arab Countries
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kias/#20121026

[2012.10.27-29] 農村開発国際会議「草の根棚田フォーラムイン丹後」
http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/seminars/
latest-seminar-list_ja.html#20121027


[2012.10.30] 第8回 Kyoto University African Studies Seminar
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/

[2012.11.15] 第191回アフリカ地域研究会「タンザニアの国民意識の形成」
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/as/as2012poster(2).pdf

[2012.11.16] 第9回 Kyoto University African Studies Seminar
"Taxing Times: Informal Economies and Religious Conflict in
Northern Nigeria"
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/

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□メールマガジンに対するご意見・ご感想お待ちしております。
http://form.mag2.com/gianoubima
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◆編集子より◆

偶然ですが、今月号ではフィールド便り、メルマガ写真館ともに、
雨と紛争の関係をめぐる印象的な文章を執筆してくれました。どち
らのフィールドでも、降雨は緊張した人間関係の陰鬱さをさらに募
らせる要因の一つであるかのようです。一方、私が調査をしている
サバンナの牧畜民は、紛争を解決するための集まりを終えたあとに
雨が降ると、つぎつぎと歓喜の声をあげます。雨は天上の神が人間
世界に与える最大の恵みであり、雨を神の姿が地上に顕現したもの
と考える人もいます。人間が水や牧草をめぐって無益な争いを続け
ることのないよう、神は降雨をとおして、青々とした草で埋めつく
された豊かで美しい世界を、人びとにもたらしてくれるのです。日
本の秋雨は、わたしたちが抱えるさまざまなもめごとに、どのよう
な影響を残していったのでしょうか。(ST)
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◆このメールマガジンは、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究
研究科(ASAFAS)広報委員会、ASAFASキャリア・ディベロップメント
室、ASAFASフィールドワーク・インターンシップ支援室より発行して
います。

◆ご意見・ご感想を以下フォームよりお気軽にお寄せください。
掲載希望の記事や研究会の案内なども受け付けています。
宛先:http://form.mag2.com/gianoubima

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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
広報委員会

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協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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