「アジア・アフリカ地域研究情報マガジン」バックナンバー

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■■■ December 2017 第174号 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン ASAFAS E-zine
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine (IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数 1204】■■■■■

________今月号の目次 Contents______________

□フィールド便り........................... シリア難民として生きる
□メルマガ写真館............................ インドでの念願の出会い
□お知らせ..................................... 第2回入学試験など
□講演会・セミナー情報.......... アフリカ地域資料センター講演会など
□最近の出来事..............................FacebookとTwitterの情報
□編集子より
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■ フィールド便りLetter from the Field
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「シリア難民として生きる――おもてなしと生存戦略の狭間で」
望月 葵(グローバル地域研究専攻)

ある夜ご飯を食べ終わると、ホストマザーが「明日お客さんが来る
から私たちは買い物に行くけれど、あなたも来る?」と尋ねてきま
した。私はもちろん、と答えて出かける準備を始めました。今日は旦
那さんも荷物係として手伝うようです。彼は髪を梳かし、アラブ人男
性にとって外出時に欠かせない香水を身に着けていました。

この一家はシリアの戦火からヨルダン・ハシミテ王国の首都アンマン
に逃れてきたシリア難民で、現在はアンマン東部の住宅街に家を借り
て暮らしています。シリア難民に関する調査を行うためにアンマンに
来たのは良いものの、良い宿泊場所が見つからず困っていた私に「我
が家ならベッドに美味しいシリア料理付きだけど、どう?」と、難民
という大変な立場にいるにもかかわらずアラブ人ならではのホスピタ
リティを提供してくれたのが彼らでした。

それから2か月間、私はこの家族の一員として暮らしました。「シリ
ア料理は世界一美味しい。あなたが帰国するまでにすべてのシリア
料理を食べさせてあげるからね」と初日にホストマザーが腕捲りをし
ていた通り、彼女のシリア料理は実に多彩で、旬の野菜たっぷりの滋
味あふれるものでした。

特に客人が来るときには、豪勢なおもてなしの料理が振る舞われます。
彼らの家には頻繁にシリア人の友人や、難民支援に携わっている中で
知り合った人々が客人として訪れていました。私が最初に訪れた時に
振る舞ってくれて、それ以来私のお気に入りだったのが「マハシー・
クーサ(ズッキーニの詰め物)」という料理です。クーサとはズッキ
ーニのことで、ズッキーニの中をくり抜いて、米や肉を詰めてスパイ
スなどで味付けしてトマトスープで煮込んで作ります。

冒頭の買い物の時も、マハシー・クーサを作るためにスーク(市場)
に出かけてそれぞれ袋いっぱいの野菜を購入しました。買い物に行っ
た翌日は朝から居間にシートを広げて、彫刻刀のような形状の刀で数
十個のズッキーニの中身をくり抜いていきます。これが中々難しく、
「失敗したら1つにつき1ディナール(155円程度)の罰金ね」とホス
トマザーに冗談めかして言われていたのにもかかわらず、私は早々に
ズッキーニに穴を空けてしまいました。その作業が終わると、今度は
付け合わせの野菜を調理しました。ここまででゆうに半日が過ぎてい
ます。

客人が来ると、このような料理の苦労を微塵も滲ませることなく、に
ぎやかな宴が始まりました。この日はシリア時代の日本人の友人が、
はるばる日本から来たので、互いの家族や親戚の近況報告で会話が盛
り上がっていました。ホストファザーによって私の失敗作のクーサも
披露され、笑いを誘いました。

たらふく食べて片付けのために台所に向かうと、先に洗い物をして
いたホストマザーが友人に話しかけている声が聞こえてきました。
「9月末にアオイが帰ると、宿泊してくれる人がいなくなる。仕事が
ない冬をどう越すか今から不安だ」。その言葉に私は動揺しました。
私が払う宿泊費がこの一家の収入の一助となっていることは重々承
知していたものの、誰かを泊めることが彼らにとって難民として生
きるための生存戦略なのだということを改めて自覚させられました。

彼らはとてもホスピタリティ溢れる人々で、毎日手間をかけた美味
しい食事でもてなしてくれました。しかし、彼らがこのように料理
に時間をかけることができるのは、他にすることがないという事実
の裏返しでもありました。ヨルダンではシリア難民が正規の職に就
くことは難しく、この夫婦はそれぞれ日雇いの仕事をして生活費と
子どもの学費を捻出しています。一週間仕事がないこともざらであ
る状況下において、彼らが人を家に招くこと、特に日本人である私
や難民支援の関係者とつながりを持つことは、友人としての側面が
あると同時に生きる手段の1つという側面があるのだと痛感させら
れました。「もしシリアにいた頃なら、あなたを無料で泊めてあげ
られたのに」。食事会の後日、ホストマザーが私にぽつりと悲しそ
うに言いました。

次にヨルダンに行く際にも、「また来てね」という彼らの言葉に甘
えて再びこの一家の所に滞在したいと思っています。ただ、もしそ
れが叶うならば、いつかこの優しい家族と彼らの故郷シリアで再会
したいです。

※研究科Facebookでは、マハシー・クーサの写真を掲載しています。
こちらもどうぞご覧ください。
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/


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■ メルマガ写真館 ~フィールドで出会う~  Photo Gallery
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「インドでの念願の出会い」
本山 可南子(グローバル地域研究専攻)

入学当初から待ち望んでいたインドへの初訪問は、8月に果たすこ
とができました。4週間調査を行ったニュー・デリーでは、先生方
の伝手を頼りにジャワハルラール・ネルー大学(通称JNU)の
学生寮に滞在していました。大学内の雰囲気は、森を切り開いて
作られたことから「ジャングル」と称されることが多いのですが、
・・・

(続きと写真は次のURLをご覧ください)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/2017_12.html


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■ お知らせ Announcements
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□ 2018年度 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 入試日程
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*募集要項等の詳細は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。

◆ 第2回入学試験
(東南アジア地域研究専攻・アフリカ地域研究専攻のみ)
出願期間:2018年1月15日(月)~1月23日(火)17時必着
試験日程:2018年2月7日(水)、8日(木)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/application

◆ 第3年次編入学
出願期間:2017年12月27日(水)~2018年1月9日(火)17時必着
試験日程:2018年1月17日(水)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/transfer


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■ 講演会・セミナー情報 Lectures, Seminars
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 □ アフリカ地域資料センター 講演会
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日時:2017年1月12日(金)15:00~17:00
会場:京都大学 稲盛財団記念館3階中会議室
演者:ガテラ・ルダシングワ・エマニュエル(ムリンディ/ジャパン ワンラブ プロジェクト共同代表)
ルダシングワ(吉田)真美(ムリンディ/ジャパン ワンラブ プロジェクト共同代表)
演題:「足元」からの平和構築:ジェノサイド後のルワンダにおける障害者支援
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/contribution/rwanda_lecture.html

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 □ Young Scholars International Workshop on Transdisciplinary Approaches
to Asian and African Area Studies 2018
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日時:2018年1月15日(月)10:00-17:30(懇親会17:30-19:00)
場所:京都大学 総合研究2号館4階 大会議室(AA447)
演者と演題は以下をご覧ください:
http://jisedai.asafas.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2017/12/YSIW2018tentative.pdf

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 □ 第232回 アフリカ地域研究会
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日時:2017年1月18日(木) 15:00~17:00
会場:京都大学 稲盛財団記念館3階318室
演者:手代木功基(摂南大学外国語学部・講師)
演題:放牧から読み解く地域環境
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/as/index.html

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 □ 民族自然誌研究会第89回例会「木かげの民族自然誌 ― 茶・コーヒー・カカオのアグロフォレストリー」
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日時:2018年1月20日(土)午後1時~5時 (託児サービス有)
場所:京都大学 稲盛財団記念館3階318号室
◆「雑木林」でお茶を育てる ― タイ北部の嗜好品「ミアン」生産を事例に
佐々木綾子(日本大学)
◆「手をかけないコーヒー栽培が育む森 ― パナマ農村の事例から」
藤澤奈都穂(京都大学)
◆意図しない多様性 ― カメルーン東南部熱帯雨林におけるカカオ栽培
四方篝(京都大学)

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□ 京都大学アフリカ地域研究資料センター
公開講座「アフリカから学ぶこと:アフリカ潜在力」
(要事前申込・受講料 1講座1000円,5講座4000円)
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◆ 第4回 2018年  1月20日(土)
「社会変化のなかでの潜在力:アフリカで忠誠心を考える」
 大山修一(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授)

◆ 第5回 2018年  2月17日(土)
「アフリカ潜在力:他者とのつきあい方をアフリカ人に学ぶ」
 太田至(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・教授)

いずれの回も
時間:15:00~17:00(開場 14:30)
場所:京都大学 稲盛財団記念館3階 中会議室
定員:50名
http://www.africa.kyoto-u.ac.jp/contribution/kokaikoza2017.html

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 □ 第79回「東南アジアの社会と文化研究会」
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日時:2018年1月26日(金)16:00~18:00(15:30開場)
場所:京都大学 総合研究2号館4階 カンファレンスルーム
演者:林 育生 (中央研究院アジア太平洋地域研究センター・助研究員)
演題:「華人宗教」一貫道?-一貫道タイ人信者にとっての「華人性」の意味
https://www.chiiki.cseas.kyoto-u.ac.jp/syakai-bunka/workshop/2018/20180126.html

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 □ 田中二郎写真展
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日程: 2017年10月30日(月)~2018年1月15日(月)※12月28日~翌1月3日除く
時間:9:00~21:30(最終日は12:00閉場)
場所:京都大学百周年時計台記念館
入場料:無料
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/social/events_news/department/yasei/events/2017/171030_2140.html


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■ 編集子よりFrom the Editor
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田中二郎写真展に行ってきました。1970年代以前のブッシュマンの
生活風景。写真の向こうから宴のざわめきや捕えた獲物のにおいが漂
ってくるようです。ひと仕事終えて帰路につく姿、母親にまとわりつ
く子どもたちの表情など、深い親近感をおぼえて鑑賞しましたが、き
っと今では失われてしまった風景も多いのでしょう。調査地の人々と
長年にわたってつきあうことの大事さを改めて感じました。

例年通り、東南アジア地域研究専攻とアフリカ地域研究専攻では2月
に第2回入試を行います。また、本研究科には第3年次編入学の枠も
あります。アジア・アフリカ地域に対する強い知的好奇心をもつ方々
の受験を期待しています。(SN)

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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
広報委員会
ASAFASキャリア・ディベロップメント室
京都大学 アジア・アフリカ地域研究研究科 次世代型アジア・アフリカ
教育研究センター 臨地教育・国際連携支援室
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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