「アジア・アフリカ地域研究情報マガジン」バックナンバー

メールマガジンバックナンバー 
■■■ December 2015 第150号 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数   1184   】■■■
____________今月号の目次______________

□「母へのラブレター」.............................フィールド便り
□「街角のスープ屋」.............................メルマガ写真館II
□お知らせ ............................第3年次編入学関連情報など
□講演会・セミナー情報 ....................アフリカ地域研究会など
□編集子より
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■フィールド便り
~みる・きく・ふれる:アジアとアフリカのフィールドから~
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「母へのラブレター」
                    .....山田 奈緒美(グローバル地域研究専攻)


ジョージアはロシアの南、トルコの北東に位置する人口約400万人の
小さな国です。文明の十字路として古来様々な人々の行き交ったこ
の土地には、今も色々な民族が暮らしています。

調査地で、研究対象であるメスへティ・トルコ人のホストファミリー
になかなか馴染めない私に声をかけてくれたのは、アルメニア人の老
姉妹でした。流暢なジョージア語を話す彼女たちは、「いつでも家に
遊びにいらっしゃい」と言ってくれ、その言葉に甘えて、私はその後
何度も彼女たちに会いに行きました。コーヒーを飲んで、おしゃべり
をして、ぶらぶら散歩をする。心細くなりがちな私にとって、彼女た
ちとの何気ない時間は、調査地での大きな支えになりました。

フィールドワークも終盤を迎えたある日、姉の家に「来年もまた来ます」
という挨拶をしに行くと、妹の方は近々息子のいるロシアに移るのだ
と知らされました。次の調査のときには会えないかもしれないと思う
と、居ても立ってもいられず、その足で妹の家に向かいました。しか
し、いつも通り明るく迎えてくれた彼女に何と切り出していいのかわ
からなくなり、つい「息子さんのことが大事なのね」とひねくれた言
葉を口にしてしまいました。私が何の話をしているのかを察したらし
く、彼女は庭の方に視線を移しながら、ポツリと呟きました。「母親
にとっては、子どもはいつまでたっても小さいもんなんだよ。あんた
の母親だってそうだろ」。思わずしんみりとしてしまった雰囲気に耐
えられなかった私が、私の母は放任主義で私には興味がないのだと冗
談めかして言うと、妹は私を見据えて、そんな言葉は聞きたくないと
強い調子で言いました。気まずい沈黙が降りてきて、そのまま私は妹
の家を後にしました。一人の東洋人として、一人の研究者として、馴
染みのない異国の地で知らず知らずのうちに気を張っていた私は、彼
女が私をずっと、単なる一人の子どもとして見てくれていたことに気
付きました。

翌日、私は妹に短い手紙を書いていました。「あなたが息子さんを大
事にしているように、母も私を大事にしてくれていると思います。私
も母が大好きです」。無頓着を装いながら実はいつも私を心配してく
れている私の母のイメージに、妹の姿が重なりました。彼女は、やや
遠慮がちに遊びに来た私を、特別に気を遣うでもなく当然のように迎
えてくれ、具合が悪くて私が寝込んでいたときには、そっと家に様子
を見に来てくれたのでした。手紙を書きながら、母に対してなのか妹
に対してなのかわからなかったけれど、あなたがいてくれてよかった
という思いがこみあげてきて、涙が止まりませんでした。その日妹は
留守で、結局会えないまま私は調査地に別れを告げました。家の扉の
隙間に差し込んでおいた手紙を、彼女は読んでくれたでしょうか。


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ご覧いただけます。
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■メルマガ写真館II ~フィールドで出会う~
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「街角のスープ屋」
                .....石川 喜堂(グローバル地域研究専攻)

交通量の多いアミーレ・キャビール通りを東進し、議会図書館に
向かうときに差し掛かる交差点の北東にそのスープ屋は....

http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/2015_12.html
(写真とエッセイの続きは上記HPでご覧いただけます)

↓「メルマガ写真館」バックナンバー
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/phots_list.html


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■お知らせ
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□平成28年度 第3年次編入学 学生募集要項の掲載開始
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平成28年度第3年次編入学入試日程

出願期間:平成28年1月4日(月)~1月8日(金)午後5時必着
試験日程:平成28年1月19日(火)

詳細は以下のサイトへ
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/transfer

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□【公募】京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
  教員の公募(グローバル地域研究専攻/アフリカ地域研究専攻)
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詳細は以下のサイトへ
グローバル地域研究専攻
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/news/recruitment/4813
アフリカ地域研究専攻
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/news/recruitment/4728

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□院生の山本直輝さんの記事が現地のニュースサイトに掲載されました
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臨地支援センターのC&Mプログラムの支援により、インドネシアで国際
シンポジウムを開催した際に、会議とグローバル地域研究専攻の山本直
輝さんの研究についてのインタビュー記事がインドネシアのニュースサ
イト “IslamIndonesia”に掲載されました。

詳細は以下のサイトへ
http://islamindonesia.id/berita/wawancara-naoki-yamamoto-
kuncinya-front-bersama-tasawuf-sunni-syiah.htm2


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□臨地教育支援センター プログラム情報&フィールド・ワーク報告
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/shien/
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フィールド・ワークの報告書が続々とアップされています。
とてもホットな調査報告をぜひご一読ください。

新着学生レポートは以下のサイトへ >>
http://www.iasu.kyoto-u.ac.jp/

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□アフリカ地域研究資料センター
第44回 KUASS(Kyoto University African Studies Seminar)
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名誉教授の田中二郎氏の研究が、毎日新聞に紹介されました。

詳細は以下の新聞記事へ
http://mainichi.jp/articles/20151125/ddm/008/070/056000c

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□Twitter 情報
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京都大学アフリカ地域研究資料センター
・・・京都発のアフリカ研究関連情報を発信していきます。
http://twitter.com/Africa_Kyoto_U
http://twilog.org/Africa_Kyoto_U(ツイートをブログ形式で表示)

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□メールマガジンに対するご意見・ご感想お待ちしております。
http://form.mag2.com/gianoubima
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◆編集子より◆

先週末(12月19日、20日)に開催された国際会議に出席するため、大阪
の国立民族学博物館に行ってきました。会議が無事に終わった後、海外
からいらした先生を隣接するエキスポシティに案内したのですが、人出
の多さに驚きました。カフェに入ろうにも、行列の連続で、結局断念せ
ざるを得ませんでした。人出の多さと同時に気がついたのは、ショッピ
ングモールのグローバル化です。私が調査対象とするインドでも、新し
いモールが次々と建設されていますが、作りはそれほど変わりません。
中国・上海のモールも似たような作りでした。グローバル化が生み出す
画一化を、改めて確認しました。(KN)
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◆このメールマガジンは、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究
研究科(ASAFAS)広報委員会、ASAFASキャリア・ディベロップメント
室、ASAFAS臨地教育支援センターより発行しています。

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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
広報委員会
ASAFASキャリア・ディベロップメント室
京都大学学際融合教育研究推進センター・総合地域研究ユニット
臨地教育支援センター(IASU)
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/
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