熱帯地域の生態資源と人間活動の動態 (2009)

概要

本共同研究の目的は、生態資源と人間活動の動態をとらえ、アジアとアフリカにおける地域間比較を試みることである。本研究の具体的な目標は3点ある。まず、アジアとアフリカの各地域における固有資源の特徴とその利用を明らかにすることである。そして、それぞれの資源と人間活動の多面的な関係を描写することである。最終的には各地域における資源と人間活動の相関を地域間で比較することを試みる。 生態資源をどうとらえ保全してゆくかは、極めて今日的な課題である。東南アジアにおいては1960年代から、またアフリカにおいては1980年代から大規模な森林伐採がおこなわれ、その結果、森林消失と多くの種の野生動物の絶滅が進んだ。このような人間の活動領域の拡大とともに、動植物の生息地域の減少により、人間と生態資源との関わりは大きな転換期を迎えた。 本共同研究ではアジア、アフリカにおける、在来の知識による生態資源利用の地域固有性に対する理解を深める。そのために、風土に根付いた人々の活動と生態資源の関わり合いの動態をアジアとアフリカで比較する。その上で植生のゆたかな東南アジアと、乾燥・半乾燥地の大きく広がるアフリカにおける環境破壊の現状を、比較・検討する 加川はフィリピン、インドネシアでのイモ・バナナの生産と食生活に関する研究をおこない、山根はヒョウをめぐる様々な取り組みについて研究を行う。加藤はイノシシと在地社会との関わり方について話題を提供し議論をする。

研究報告会

①ナイロビでの研究報告会
日にち:2009年8月27日
場所:JSPSナイロビオフィス(ケニア、ナイロビ)
 ⇒Program (English)

②カメルーンでの研究報告会
日にち:2009年9月3日
場所:Millennium Ecological Museum(カメルーン、ヤウンデ)
 ⇒Program (English)

研究報告書

目次

1. 熱帯生態と人々
2. 共同研究「熱帯地域の生態資源と人間活動の動態」について
3. 個人報告
「湿潤熱帯地域におけるイモ・バナナ類の作物としての重要性について」   加川真美
「開発や近代化による人間活動の変化と野生動物への影響」   加藤裕美
「ナイロビ国立公園とその周辺におけるヒョウと人々とのかかわり」   山根裕美
4. 共同研究報告会について
5. 研究報告会ポスター

メンバー

氏名調査地研究テーマ
加川真美
(研究代表)
フィリピン
ネグロス島
Transition of the Role of Tuber Crops and Agrarian Culture in Philippines: The Case of Cebuano People in Negros
山根裕美ケニア
ナイロビ国立公園
Significant Relationship between Leopard (Panthera Pardus) in and around Nairobi National Park
加藤裕美マレーシア
サラワク州
The Relationship between Wild Animals and Indigenous Community in Malaysia : The Important Relation with Bearded Pig (Sus Barbatus)