【公募研究】

 「人文学及び社会科学における共同研究拠点の整備の推進事業」が始まった2008年にネットワークを形成している早稲田大学拠点、東京大学拠点、上智大学拠点、東洋文庫拠点、京都大学拠点がそれぞれに公募を行い、採択課題を選定し、公募研究をスタートさせました。具体的に京都大学拠点では、7月22日から9月10日までを公募期間と設定し、公募要領を作成したうえで、7月22日に京都大学イスラーム地域研究センター(KIAS)ホームページ上で研究公募を公示し、さらに7月25日、諸研究機関(268ヶ所)に公募研究募集の通知を郵送して公募研究の周知を徹底いたしました。幸いなことに9月10日公募締め切り時に複数の応募をいただきました。それをうけて、9月18日当センター公募研究審査委員会における第一次審査、9月25日にイスラーム地域研究拠点運営委員会における第二次審査を経て、立命館大学・江川ひかり教授を中心とした四名の研究分担者からなる応募研究「イスラーム法とテクノロジー」が採択されました。

研究テーマ:「イスラーム法とテクノロジー」
 この研究はいわば人文学および社会科学と理数系のテクノロジーを融合させた研究で、研究分担者の一人である独立行政法人防災科学技術研究所の角本氏が開発したDiMSIS-EX(GIS:地理情報システムに時間軸を加えたもの)を利用した、新たな歴史学研究を模索しています。この研究によりワクフ財といった個別イスラーム法適用に関して、時系列に基づいたこれまでにない把握をしたり、さらに広くはイスラーム法にもとづいた都市の構造の変遷を表現したりといったことが可能になります。なお、この研究はイスラーム地域研究センター全体の課題である「イスラーム世界の国際組織」中の主に国際性を重視し、アラビア語圏、ペルシア語圏、トルコ語圏、さらには東南アジアなどイスラーム世界全域をターゲットとしており、国際的にイスラーム法がどのように適用されているのかを研究する世界で初めての試みでもあります。

データ公開
 「イスラーム法とテクノロジー」では、これまで、時空間管理をおこなうことのできる地理情報システム、DiMSIS-EX(Disaster Management Spatial Information System-Expansion)を利 用した歴史学研究および人類学研究の可能性を考え、すでに応用されつつあります。
 →データ公開

代表:
江川ひかり(明治大学・教授)
メンバー:
角本繁((独)防災科学研究所)
川本正知(奈良産業大学・教授)
後藤裕加子(関西学院大学・准教授)