<< 東南アジア地域研究専攻 2001年度目次へ戻る

第4回(通算第29回)
「水は水を汚さない」
石田紀郎:生態環境論講座

Contents

1.1970年代は・・・

2.工場による公害もさることながら・・・

3.琵琶湖に奇形魚が・・・

4.山があり、農地があり、・・・

5.「琵琶湖が琵琶湖を汚さない」

4山があり、農地があり、・・・

4)この図には、山があり、農地があり、街があり、工場がある地域を川が流れている。山野に降った雨が湖に流れていく過程で、人間活動の現場を通り過ぎていくという当たり前の行程図である。琵琶湖に流れ込む河川数は200本近くあると言われている、それぞれの河川の流域にそれぞれの特徴を持った自然環境と人間社会があり、生産と消費がある。そして、それらの結果の総体が河川を通じて琵琶湖に流れ込むのである。琵琶湖の水質汚染の進行はそれらの結果でしかない。すなわち、当然のことではあるが、琵琶湖の水質悪化は琵琶湖自体の責任ではない。琵琶湖流域を一つの単位として捉えることも、ある特定の流入河川の流域を一単位として捉えることも出来るであろうが、いずれにしても、その流域のあらゆる活動の結果が琵琶湖の水質に反映しているのであり、水は低きにモノを運びながら流れて琵琶湖に至るだけである。


(水の流れの図)