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2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第十五回 「地域研究と文献研究」
 
 

Contents

1.百聞は一見に如かず

2.葬式本

3.史料復刻

4.The Bangkok Recorder

5.バブル経済の功--財高官低

6.古本屋へのアクセス--高架鉄道

7.インターネット時代

  

2.葬式本

 私はタイの政治を勉強しています。もっぱら文献に依拠した研究です。こうした人間にとっても、現地に出かけることにはとても大きな意義があります。サファリの例のように文献では分からないことが分かりますし、さらに文献の理解度が格段に深まり、記述内容の真偽判断能力が高まるからです。それに加えて、タイ語文献資料を閲覧収集するという重要な意味もあります。タイ語の資料にはいろんなものがあります。そうしたものの1つに、「葬式本」があります。長期にわたる葬儀のクライマックスとなる火葬(宗教によっては埋葬)の際に、参列者に引き出物として配布される本です。遺族が出版するのが普通です。故人が偉い人の場合には、多くの個人や団体が出版します。現国王の母親の葬式では、大小取り混ぜて18冊も配布されました。

国王の母親の葬式本