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2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第十五回 「地域研究と文献研究」
 
 

Contents

1.百聞は一見に如かず

2.葬式本

3.史料復刻

4.The Bangkok Recorder

5.バブル経済の功--財高官低

6.古本屋へのアクセス--高架鉄道

7.インターネット時代

  

3.史料復刻

 葬式本には、故人の経歴、友人や親族からの弔辞の他に、何か読み物が加えられるのが普通です。主流を占めるのは、仏教や健康に関するものです。故人の回想録やかなり詳しい伝記も少なくありません。研究者にとっては、経歴、伝記、回想録などが役立ちます。故人を都合よく美化したことしか書かれていないというのは確かです。それでも、『人名録』が少ないタイでは、葬式本から得られる個人情報は貴重です。ですから、高齢の某著名人が早く死なないかななどと罰当たりな思いが脳裏によぎらないとも限りません。それと並んで重要なのは、機会はわずかながら、図書館でも閲覧困難な稀覯本の復刻(あるいは未公刊史料の刊行)です。1990年代になって国王が復刻出版する機会が増えてきました。母親のときは120年ほど前の新聞を70年余り前に合本復刻したものが再版されました。側近である枢密顧問官の葬式でも行われています。

枢密顧問官の葬式本