<< 東南アジア地域研究専攻 2000年度目次へ戻る

2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第十五回 「地域研究と文献研究」
 
 

Contents

1.百聞は一見に如かず

2.葬式本

3.史料復刻

4.The Bangkok Recorder

5.バブル経済の功--財高官低

6.古本屋へのアクセス--高架鉄道

7.インターネット時代

  

5.バブル経済の功--財高官低

 タイは1980年代後半から経済成長率が一段と高まりました。この好景気の時代には葬式本も豪華になりました。B5サイズに代わって、A4サイズが増えました。ページ数も増えました。紙質もよくなり、カラー写真がたくさん掲載されるようにもなりました。装丁の立派な本も増えました。官を辞せばただの人になる高官の葬式本に目立った変化がないのとは対照的に、とくに実業界での成功者の葬式本には立派なものが増えました。葬式本は世相を映す鏡でもあるのです。そうした中でやや異色なものとして、80年代に急成長を遂げたTCC財閥のオーナーが、亡くなった社員のために出版した葬式本があります。故人が生前趣味で収集していた人民党員の葬式本から経歴部分をまとめて1冊の本にしたものです。B5サイズで880頁ほどの大部です。人民党は1932年に立憲革命を行った集団です。100名余りの党員の葬式本を集めるのは手間、暇、金がかかります。葬式本が出版された党員に限定されてはいますが、各人の経歴が1冊にまとめられていますから研究者には便利なものです。

人民党員の略歴を集めた葬式本