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2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第十六回 「食糧生産と環境保全」
 
 

Contents

1.MAPNETプロジェクト

2.地域研究のアプローチ

3.東北タイとの関わり

4.ムラ研究の楽しさともどかしさ

5.「地べたを這いずり回る」と「鳥瞰する」

6.大学院生との共同研究

7.数値データで地域を語る

8.地域と地球

  

1.MAPNETプロジェクト

 1995年からModeling Agricultural Productivity in Northeast Thailand(略称MAPNET、タイ国東北部の農業生産力評価)と題する研究プロジェクトを行っています。

 現在の地球環境問題の多くは膨大な地球人口を養うための農業活動と密接な関わりをもっている。熱帯林の破壊と生物多様性の減少は、焼畑を含む農地の拡大によるところが大きい。砂漠化や土壌塩類化は、過耕作、過放牧による土地生産力の不毛化にほかならない。したがって農業の持続性の確保はそのまま地球環境の保全につながる。農業の持続性を確保するためには、それぞれの土地のもつ生産力の限界を知り、それに見合った土地の管理をする必要がある。すなわち土地生産力の評価は、農業持続性のための必須の前提である。

 このような考えに基づいて、潜在的な土地生産力評価手法を開発しよう、というのがプロジェクトの目的です。

タイ国東北部遠景。東北部は、面積でも人口でもタイ全国の3分の1を占める。標高150〜200メートルの平原が広がり、低みでは天水のみに依存する水田水稲作が営まれ、高みではキャッサバやサトウキビが栽培されている。農業生産は、降雨の経年変動に左右され、きわめて不安定である。

共通科目 (開発生態論)

河野泰之(こうのやすゆき)
E-mal:kono@cseas.kyoto-u.ac.jp