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2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第二十二回 「水産資源の養殖と放流」
 
 

Contents

1 養殖の重要性

2 養殖−環境に与えるダメージ

3 放流−水域生態系への影響

4 生物汚染

5 モノカルチャーの功罪

6 文化多様性の活用

  

2 養殖−環境に与えるダメージ

 しかし、養殖は良いことばかりではありません。例えば、養殖生産量を増大させようとすればより広い養殖場所が必要となります。それが汽水域に生息するサバヒーやウシエビ(商標名はブラックタイガー)であれば、マングローブ帯の伐採で森林が減少し、海産のシロチョウガイであれば筏の増設に伴って排泄物、水流の停滞等により水質が悪化します。過密養殖や適切な養殖技術が無いために病気が蔓延し、それを治療するために大量投与される薬物で環境や養殖物それ自身が汚染される危険もあります。また、種苗を得るために親魚や仔・稚魚、母貝の乱獲が生じ、結果的に天然資源を減少させているケースもみられます。

写真2の説明・・・ 南スラヴェシ、ブトン島のシロチョウガイ養殖筏。日本人の技術士は同じ場所で10年養殖し続けると良い真珠がとれなくなると語った。天然母貝が激減し、それを採取するための地元漁民は安全潜水の知識が全く無く、潜水病による事故が多発している。