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2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第二十二回 「水産資源の養殖と放流」
 
 

Contents

1 養殖の重要性

2 養殖−環境に与えるダメージ

3 放流−水域生態系への影響

4 生物汚染

5 モノカルチャーの功罪

6 文化多様性の活用

  

5 モノカルチャーの功罪

 現在地球上に手つかずの自然は皆無に等しいといっても過言ではないでしょう。農業や林業、畜産業の発展は陸上生態系を人為的に変化させてきた歴史そのものです。水域生態系も人為的影響を受けていない場所がない点では同じです。だからといって、生態系の攪乱を無視して、単に水産資源の増加を目的にこのまま特定魚種の養殖や放流を続けることは上述した例から言っても問題です。これは自然に与える影響ばかりではありません。養殖所周辺地域の人間社会にも構造的変化が生じ、モノカルチュラルな産物しかなくなることで、それまで多種多様なものを利用してきた人々の文化の多様性が消滅していきます。

写真5の説明・・・インドネシア、スマトラ島のアブラヤシのプランテーション。地平遙かまで単一の作物が続く風景は生物多様性という言葉とは全く縁がない。