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2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第二十二回 「水産資源の養殖と放流」
 
 

Contents

1 養殖の重要性

2 養殖−環境に与えるダメージ

3 放流−水域生態系への影響

4 生物汚染

5 モノカルチャーの功罪

6 文化多様性の活用

  

6 文化多様性の活用

 日本の里山は人が手を加えることによって陸上や水域の自然度が良く保たれている例です。効率よくかつ合理的に単一の生産物をつくる世界観はそこにはありません。多種多様な生態資源を時と場合に合わせてうまく利用する人々の生活は東南アジアでも広く行われています。水産物にしても実にさまざまな、そして現在の養殖・放流事業の視点からすればとるに足らない種類を活用しています。それは文化的多様性の現れにほかなりません。これからの養殖・放流事業は適切な方法で事前に影響評価し、当該地域の生態系をできるだけ攪乱させない技法を検討することもさることながら、その地域に住む人々の文化と生活を参考にして、人と自然と水産業が共存していく道を探る必要に迫られています。

写真6の説明・・・ラオス南部 ゲンコクにて。増水したチャンポン川で魚を採る人達。どんな小魚でも利用する。ラオスの人々はタンパク質摂取総量の6割を魚から得ている。