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2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第二十三回 「クアラルンプルのサマ人:都市就労のマレーシア的文脈」
 
 

Contents

1.普遍現象の個別文脈

2.海民

3.マレーシアのサマ人

4.クアラルンプルにおける就労状況

5.マレーシアという文脈

  

2.海民

 サマ人は、フィリピン南部のスルー諸島、マレーシアのサバ州、インドネシア東部のスラウェシ島などの沿岸・島嶼に住む人々である。人口は80万人ほどと推定されている。サマ人の高床式の家屋は、たいてい沿岸か汀線帯(浜と海の境目)、あるいはサンゴ礁の浅瀬の上に建てられている。サマ人のうち「海サマ」と自称する人たちは、1950〜60年頃まで家屋を一切もたず、家船で生活を営んでいた。かつて主要な生業は、サンゴ礁を主な漁場とする漁業や海産物の仲買、海上交易であった。こうしたことからサマ人は、一般に「海民」と呼ばれてきた。

(写真2.サマ人の杭上集落/ インドネシア・中部スラウェシ州・バンガイ島)