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第7回(通算第32回)
「ラオスの水産資源利用とその変化」
岩田明久:生態環境論講座

Contents

1.ラオスの水産資源の特徴

2.ラオスの水産資源利用と管理の特徴

3.ラオスの水産資源利用と管理の変化

4.政府の政策

5.利用することがまもること

2ラオスの水産資源利用と管理の特徴

 この国では老若男女を問わず、小規模で多様な在来漁労を河川や沼・池、水田、時には道路端でも行っています。専業漁師が大規模な漁法をすることはある特定の地域を除いて殆どありません。水産資源を産する場所は共有地で村単位の用益権があります。ラオスでは標高の一番低い川縁に位置する「川村」、それに続く平地の「平地村」、そして平地の上手で丘にある「丘村」があり、これら三つに区分される村々が物々交換、交易、市場などの諸活動をとおしてある特定の地域の中でひとつのユニットをつくっているのが普通です。このユニット内では、他の村人もルールさえ守れば当該地の利用を禁止されているわけではありません。また、水産資源の保護そのものの目的、精霊信仰、特定の動物に対するおそれ等さまざまな要因による漁労規制が村落単位、もしくは地域単位であり、結果的に水産資源を保全しているという、在来の資源管理方法が存在しています。


サヴァナケート県、ケンコクにあるノーンメハーン(未亡人沼)。
一年中禁漁。
ただし、この沼から出た魚は自由に利用できる。
ラオスではとかく未亡人の話題が多い。