ASAFAS 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
インターネット連続講座
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第十三回 「〈多神教〉的イスラームと〈一神教〉的イスラーム」

東南アジア地域研究専攻(南・西アジア地域研究)
東長靖(連環地域論講座)tonaga@asafas.kyoto-u.ac.jp

 
 

2.知の伝統とイスラーム世界

 しかし、イスラームに関する知識は、何らかの地域について知るための補助学としてのみ機能するわけではない。
 現に存在する「イスラーム世界」は、「イスラーム学」という知の伝統のうえに成り立っている。これは、意識的に継承・発展が図られてきた知の伝統である。旧ソ連でも、中央アジア諸国の独立後、イスラーム学は急速に復活している。そのことは、伝統的イスラーム教育を行うマドラサの復興に看て取ることができる。
 「イスラーム世界」は、ただムスリムが多数を占めている国家の集まりではなく、イスラーム学という知の伝統に支えられたメタ地域なのだ。

ミッリー・アラブ・マドラサ(メドレセ)

(ウズベキスタン・ブハーラー)

Contents


1.雪をかぶるモスク

2.知の伝統とイスラーム世界

3.アッサラーム・ナヴルーズ

4.「多神教」的イスラーム

4-1 アッラーを超える存在?

4-2 誰に願いを?

5.「一神教」的イスラーム

5-1 男女隔離

5-2 メッカは「イスラームのメッカ」か?

6.「正しい」イスラーム

6-1 偶像禁止

6-2 国王も聖者信仰

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