ASAFAS 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
インターネット連続講座
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  第十回 「儀礼・歴史・アイデンティティ−インド・オリッサのラモチョンディ女神祭祀−」
東南アジア地域研究専攻 田辺明生(連環地域論講座)
 
 

2−2、儀礼の過程:女神が太刀をとる


「太刀を持ち、赤い布の上で「太刀の舞」を披露するシャーマン」

 シャーマンが村に置かれた女神寺院にまでやってくると、当地域の首長の子孫が太刀をシャーマンの前に置く。これには以下のような伝説がある。「シャーマンの神性を疑った首長は、王から授かった十二尺の太刀を持ち上げてみせよ、と挑戦をした。果して、シャーマンはその太刀を持ち上げるばかりか、ブンブンと振り回してみせた。首長はシャーマン(女神)の前にひれ伏せざるを得なかった。」当祭祀では、この伝説が再演されるのだ。ゆっくりと太刀の回りをまわった後、シャーマンは、太刀を手にすくっと立ち上がり、太刀を振り回しながら踊りだす。ドラマチックな一瞬である。太鼓の音が高くなり、感極まった村人たちの「ホリボロ」(神を呼べ)の叫びが何度もあがる。

Contents

1-1、アイデンティティ
   形成の場としての儀礼

1-2、儀礼から何がわかるのか?

2、儀礼の過程
2-1、礼拝と憑依

2-2、女神が太刀をとる
2-3、供犠と軍事行進

3、儀礼の解釈
3-1、象徴体系の視点から

3-2、政治・社会体系の視点から
3-3、歴史ドラマとして

4-1、歴史の中の儀礼
   /儀礼の中の歴史

4-2、演ぜられない植民地経験

5、ポスト植民地期における
    アイデンティティ形成

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