<< 東南アジア地域研究専攻 2000年度目次へ戻る

2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第十七回 「イスラーム世界研究の新地平
       ― スーフィズム・タリーカ研究―」
 
 

Contents

1.スーフィズムとタリーカ

2.イスラームの2つのベクトル

3.倫理の学としてのスーフィズム

4.鍋は急いで洗え

5.ウンマの再現としてのタリーカ

6.「大ジハード」と「小ジハード」

7.ゴルバチョフへの書簡

  

4.鍋は急いで洗え

 「修行階梯の第一は、悔い改めである。・・・悪行を犯したときの僕をたとえれば、新しい鍋が一時間火で熱せられ、黒くなってしまったようなもの。急いで洗えば、この焦げつきは落ちるが、放っておいて何度もそれで調理していると、その焦げつきが固まってしまい、ついには鍋がこわれてしまう。そのときになって洗ってみてもなんの役にもたたない。・・それゆえいつも至高なるアッラーに許しを求めよ。」

 悪行・罪を犯しがちな人間に、すぐに悔い改め、神に許しを求めるべきことが、平易な言葉で噛んで含めるように説き明かされています。難しい神秘主義哲学でも、怪しげな民間信仰でもないスーフィズムの一面がお分かりいただけたでしょうか。

イブン・アターウッラー著『花嫁たちの冠』(他の著作との合本)

本文中で紹介した文は、この本の一節です。1896年、カイロ刊行。