<< 東南アジア地域研究専攻 2000年度目次へ戻る

2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第十七回 「イスラーム世界研究の新地平
       ― スーフィズム・タリーカ研究―」
 
 

Contents

1.スーフィズムとタリーカ

2.イスラームの2つのベクトル

3.倫理の学としてのスーフィズム

4.鍋は急いで洗え

5.ウンマの再現としてのタリーカ

6.「大ジハード」と「小ジハード」

7.ゴルバチョフへの書簡

  

7.ゴルバチョフへの書簡

 内面的な理論・思想と、外面的な行動のいずれかだけを見ていたのでは、イスラーム世界は姿を現してきません。

 たとえば、イラン革命の立役者ホメイニーを考えてみましょう。彼は、ただ革命家・政治家であっただけではなく、中世の偉大なスーフィー哲学者、イブン・アラビーの思想の後継者でもありました。実際、ホメイニーは、イブン・アラビーの主著『叡智の台座』への注釈を著しています。それだけでなく、ソ連のゴルバチョフにあてた書簡のなかで、イスラーム世界の理解のためには、イブン・アラビーやイブン・スィーナー(著名なイスラーム哲学者。ヨーロッパ世界ではアヴィセンナの名で知られる)の思想の理解が不可欠だと述べています。高度な哲学思想と現実の革命とは、ホメイニー自身の中で分かちがたく結びついていたのです。

 なお、この講座を見て興味を持たれた方のために、よりくわしいバージョンとして「スーフィズム研究宣言」を別途用意しました。よろしければそちらもお訪ね下さい。

ホメイニー(ポスターより)


彼の著書『叡智の台座注釈』

注釈書は、ホメイニーの話していたペルシア語ではなく、学術語のアラビア語で書かれています。