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第5回(通算第30回)
「民主政治時代の中央・地方関係」
玉田芳史:地域進化論講座

Contents

1.タイの中央・地方関係

2.併呑された地方権力

3.中央集権的な行政

4.学歴エリート:ニムマーンヘーミン一族

5.地元密着型資本:タントラーノン一族

6.官僚と政治家を使うスパー一族

7.首相を出したチンナワット一族

8.遠い地方の時代

中央集権的な行政


 1920年代にほぼ完成した集権的な行政構造に90年代に地方分権のメスが入れられるようになった。県(県全域)や市(市域)に加えて、区(郡部)も自治体となった。中央政府の1割にも満たなかった自治体予算は2割まで増やされている。しかし、区への分権は区の規模に懸隔があるため地域格差を助長しており、中央政府への財政依存を不可避としている。 
 また、行政は自治体よりも中央官庁の地方出先事務所が担う比重が依然として格段に大きい。庁舎がよい例である。県庁とは中央官庁の県合同庁舎である。チェンマイでは市街地の県庁が手狭になると郊外に移転した。90年代には一段と大きな第二庁舎が建設された。隣接地には県自治体の庁舎がこぢんまりと建っている。邸宅と分譲住宅ほどの違いがある。 


■ 3-0 区自治体庁舎 全国有数の富裕なステープ区自治体


■ 3-1 県庁旧庁舎


■ 3-2 県庁新庁舎旧館


■ 3-3 県庁新庁舎新館


■ 3-4 県自治体庁舎