1. HOME
  2. ブログ
  3. 地域研究情報マガジン
  4. アジア・アフリカ地域研究情報マガジン 第266号

Articles

メルマガ記事

地域研究情報マガジン

アジア・アフリカ地域研究情報マガジン 第266号

■■■ August 2025 第266号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数1,138】■■■■

__今月号の目次 Contents__________________

□ フィールド便り…………. ディエン高原のトラ
□ メルマガ写真館…………. 雨と共にのんびりする
□ お知らせ………………. 【公開ワークショップ 】 マリア崇敬と人・社会・芸術:アジア、アフリカ、ヨーロッパ地域横断的研究の視点から
□ 最近の出来事………………… Facebook・X(旧Twitter)情報
□ 編集子より
_______________________________

========================================================== 
■ フィールド便り Letter from the Field
========================================================== 

「ディエン高原のトラ」
金居新大(東南アジア地域研究専攻)

私はいまインドネシア・ジャワ島のディエンという標高2,100 mの高原にいます。標高が高いため、インドネシアでありながら夜明け前には氷点下となり、日中も息は白くなります。その日私は、盆地の斜面が底部より暖かくなる現象「斜面温暖帯」を観測するため、サーマルカメラを持ち、開けた丘に登りました。22時すぎ、頂上にたどり着くと、ふもとから騒がしい音が聞こえます。ジャワに伝わる伝統的な音楽「ガムラン」の激しくも心地よい響きが、風に乗って丘を駆け上がっていたのです。

興味をそそられた私は、温度測定を中止し、音のする集落へ急ぎました。そこで繰り広げられていたのは「Lengger (レンゲル)」という中部ジャワの伝統舞踊でした。30人ほどの若い男たちがリズムに合わせて体を揺らし、打楽器を操りながら大声で歌っています。踊り手の男性は、短剣を腰に差し、仮面をつけて勇ましく踊ります。一方、女性は長い黒髪を下し、ピンクの衣装でしなやかに舞います。私は、その大迫力な光景にただ飲まれていました。

そのとき、「ドサッ」と、男の踊り手が倒れました。しかし誰も助けません。それどころか音楽の勢いはさらに増しています。しばらくして起き上がったその男は、仮面を外し、鋭い眼光で観衆をにらみます。隣の友人は、「トラが憑依した」と。全く変わってしまった男の様子に、私もじわじわ怖くなります。すると、長老らしき男性が舞台へ上がり、種々の仮面を男の目の前に並べました。「トラ」は仮面を恐れるように四つん這いで後ずさり。そしてうめき声をあげて再び倒れました。「トラ」が帰って行った瞬間でした。その間、9分もかかりました。

次の日の夜、「今度こそは」とサーマルカメラを背負って丘に登りました。今回は風の音しか聞こえません。しかし、暗闇の中に一人でいると、あの「トラ」がどこからかこちらを見ている気がしてきます。結局、温度測定はそこそこにして、私は後ろを振り返らないように丘を駆け下りました。

写真1:丘の上から望むディエン高原
写真2:Lenggerの踊り
写真3:踊りの最中に「トラ」が憑依した男性と、煙を浴びせる長老

(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid0sqdwKrmvdsW7RgyTySr2LKk
gwKh1fXh8bmJsGsejEm8tKJsFd5Ke8R18NB1DrzHEl

========================================================== 
■ メルマガ写真館 Photo Gallery
========================================================== 

「雨と共にのんびりする」
松村琴音(東南アジア地域研究専攻)

私がチェンマイに滞在していたのは、ちょうど雨季の時期でした。ポツポツと雫を感じ、気がつくと大雨が轟音を立てて降り始め、1時間ほどでピタッと止みます。この雨の時間を煩わしく思うのかと思いきや、タイでは少し違いました。

ある時、現地で出会った友人らと街に出かけた際に雨が降り出したのですが、友人らは予定の乱れを気にすることなく、雨宿りをしながらおしゃべりを楽しみました。そして、雨が止むと、何事もなかったように私たちは日常に戻っていました。

日本での生活は常に焦りを感じていましたが、穏やかな雨宿りの時間を通して、タイのサバーイサバーイ(ゆったりとした)精神を体感でき、立ち止まってもいいのだと思えるようになりました。

写真1:雨の日のカフェ。チェンマイには数えきれないほど沢山のカフェがあり、雨宿りにはぴったりの場所です
写真2:ドイ・インタノン国立公園にあるワチラターン滝。雨季で落水量が増加した滝は圧巻です。雨季だからこそ見ることができる風景がたくさんあります

(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid0vuedryMU3CJd8g6S8gxibh7EBa9m
TWiPbuLuocZTiksiRt5SYps9PubyLsytqwQ4l

(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/

────────────────
□ お知らせ
────────────────

◆【公開ワークショップ 】 マリア崇敬と人・社会・芸術:アジア、アフリカ、ヨーロッパ地域横断的研究の視点から
日時:2025年9月2日(火)14:00-17:00
場所:稲盛財団記念館3階 中会議室
形式: ハイブリッド形式(対面+Zoomによるオンライン参加)※ZOOM参加希望は要事前登録
詳細・プログラム・申し込みフォーム:
https://note.com/resm/n/n7aaf40450dcc

────────────────
□ Facebook・X(旧Twitter)情報
────────────────

FacebookとX(旧Twitter)から最新情報を発信しています。
是非ご登録ください!

○ 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/
https://twitter.com/asafasprcc

○ 東南アジア地域研究専攻Facebook
https://www.facebook.com/AsafasAsia/

○ 東南アジア地域研究専攻生態環境論講座Facebook
https://www.facebook.com/asaseaeco/

○ アフリカ地域研究専攻 Facebook
https://www.facebook.com/ASAFASAfrica

○ グローバル地域研究専攻Facebook
https://www.facebook.com/京大アジアアフリカ地域研究研究科グローバル地域研究専攻-545053518980616/

○ 京都大学アフリカ地域研究資料センター
https://www.facebook.com/CAASKyotoUniv/
http://twitter.com/Africa_Kyoto_U
http://twilog.org/Africa_Kyoto_U

==========================================================
■ 編集子より From the Editor
==========================================================

今回のメルマガ号でも、トラの憑依の話であったり、雨にふと立ち止まる時間に気づいた話であったりと、やっぱりフィールドで感じた話を聞くのはいつも新鮮で面白いなぁと思います。極端な気象も続いていますので、体調に安全管理に、引き続き気を抜かずに実りある調査をしてもらいたいと思います(R・N)


==========================================================
□ メールマガジンに対するご意見・ご感想お待ちしております。
  http://form.mag2.com/gianoubima
==========================================================

◆ このメールマガジンは、京都大学大学院アジア・アフリカ地域
研究研究科(ASAFAS)広報委員会、ASAFASキャリア・ディベロップメント室、ASAFAS臨地教育・国際連携支援室より発行しています。

◆ ご意見・ご感想を以下フォームよりお気軽にお寄せください。
 掲載希望の記事や研究会の案内なども受け付けています。
 宛先:http://form.mag2.com/gianoubima

◆ バックナンバーは、こちらのページから読むことができます。
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/melmaga/

◆ このメールは「まぐまぐ!」を利用して配信しています。
新規登録・解約は下記ページにてお願いします。
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/magazine/

==========================================================

■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会
ASAFAS キャリア・ディベロップメント室
ASAFAS 次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
     臨地教育・国際連携支援室
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

関連記事