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地域研究情報マガジン

アジア・アフリカ地域研究情報マガジン 第263号

■■■ May 2025 第263号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数1129】■■■■

__今月号の目次 Contents__________________
□ フィールド便り…………. 「スラム」(女の先生)と呼ばれて―北タイ山地のカレン族、キリスト教徒の村にて―
□ メルマガ写真館…………. 必要な資源はすぐそばに-村の暮らしから私生活を回顧する筆者
□ お知らせ………………. グローバル地域研究専攻オープンキャンパス、アフリカ地域研究専攻オープン
           キャンパス、東南アジア地域研究オープンキャンパス、CSEAS Colloquium、
           第146回京都大学丸の内セミナー、第265回 アフリカ地域研究会
□ 最近の出来事………………… Facebook・X(旧Twitter)情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「「スラム」(女の先生)と呼ばれて―北タイ山地のカレン族、キリスト教徒の村にて―」
木戸七彩(東南アジア地域研究専攻)

「カーン!カーン!カーン!…」
 仄かに白んだ薄暗がりを、モド(スゴー・カレン語で「修道女」)が鳴らす教会の鐘が貫きます。あと半時もせず、ミサが始まります。
 私の調査村、M村はタイ国北部チェンマイ県の山の上にあります。タイ国といえば敬虔な仏教徒の国というイメージが強いですが、M村村民はそのすべてがカトリックのキリスト教徒です。また、タイ国の少数民族としては最大の人口を擁するスゴー・カレン族でもあります。
 私はこの村で、本名からとった「ナナ」、もしくは「スラム」(スゴー・カレン語で「女の先生」)と呼ばれていました。調査期間の約1年間、私は「特別課程」の若者に英語と日本語を教えるという役割を与られていたためです。
 「特別課程」(調査当時は13~17歳、男5女3、計8名)とはM村教会が独自に設けた、いわゆる「カトリック・カレン人のリーダー」を養成するための非公式な教育の場です。彼らは在籍期間1年の間、スゴー・カレン語の読み書き習得をベースに、キリスト教の教義、タイ語、英語、算数などを学びます。年下の小学生たちの生活面、ミサや祈りの際の手本となりながら、将来はカトリック・カレンの宗教共同体を担う存在を期待されています。実際、カレン人のパド(神父)、モド(修道女)、カテキスタはこのM村の「特別課程」を経験しているケースが多くみられ、そうでなくとも、タイ語とカレン語のリテラシー、ミサや祈りの文言、山で生きる生活の知恵を得た若者が、それぞれの出身村で果たす役割は計り知れません。
 私は図らずも、調査の傍ら「スラム」として、日々逞しくなってゆく(生意気にもなってゆく)子供たちを見てきました。いつか、彼らのうちの誰かを「パド」(神父様)や「モド」と呼ばねばならぬ日が来るのでしょうか。M村で響いた福音が、いつまでも彼らの心の中に美しく輝いているように、そう願わずにはいられません。

写真1:今年度の「特別課程」の子供たち。モドからスゴー・カレン語の文字を習う。
写真2:M村教会のミサ。写真は聖体拝領のようす。

(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid0bCGwtr5Jzam3YdTUWZbSxd6LeVtPYeWG
8347nP9jZZej11LuaSLfoQAdM99uAYyHl

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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「必要な資源はすぐそばに-村の暮らしから私生活を回顧する筆者」
田中香帆(東南アジア地域研究専攻)

 ネパールのドルポ地方では、家畜を中心とした生活が営まれています。私が滞在した村では、家畜の糞が生活を支える重要な資源の1つで、糞を肥料として活用していました。野外に落ちている大量の糞を籠に集める村の人々の姿を見かけたときは、印象的でした。家の造りを見ても糞の重要さが伝わってきました。家屋の1階は家畜収容スペースで、床には糞と松の葉が堆積し、自然と肥料となる仕組みができていました。家そのものが小さな循環システムになっているようでした。また、人の糞も肥料だったと聞き、ハッとさせられました。人間とは本来自ら資源を生み出す存在であると同時に、日常の中で自然とのつながりを見失っていた自分にも気づかされました。こうした循環の中で、「人間」も欠かせない要素であることを実感しました。

写真1:村内で放牧中の馬とカッツァル(馬とロバのハイブリッド)
写真2:家屋1階の家畜スペース 複数頭の牛
写真3:家畜スペースの地面 松の枯れ葉が敷かれている

(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid023GcnQdHStoshkXqbNoJEaDAqSRw1651
iwuHDm5fnYq4w5eqgwmrCh9FueajZQfdpl

(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/

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□ お知らせ
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□ 専攻別 2025年度 オープンキャンパスの開催
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◆ アフリカ地域研究専攻 第2回オープンキャンパス2025
日時:2025年5月24日(土)14:00-16:30
参加申込URL:https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/news/oc20250524/
*オンライン会議システムZoomでの開催となります。  

◆ グローバル地域研究専攻オープンキャンパス
日時:2025年5月24日(土)13:30~18:00頃
場所:京都大学吉田キャンパス総合研究2号館4階大会議室(AA447)
詳細、申し込みはこちらから
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/global2025_0524/

【プログラム】
第1部13:30~14:15 大学院説明会
1.専攻長挨拶(ASAFAS・グローバル地域研究専攻で学ぶこと、学べること)
  池亀 彩 教授(グローバル地域研究専攻・専攻長)
2.入試について
  黒田 彩加 准教授(入試委員)
3.研究科での教育・研究の仕組み─入学から学位取得まで
  藤倉 達郎 教授(学務委員)
4.修了後の進路について
  藤倉 達郎 教授(キャリアディベロップメント室長)

第2部14:15~14:45 入試に向けてのアドバイス
 英語の試験について 黒田 彩加 准教授
 平和共生・生存基盤論講座 中溝 和弥 教授
 イスラーム世界論講座 長岡 慎介 教授
 南アジア・インド洋世界論講座 藤倉 達郎 教授 

第3部 14:45~15:15 院生による研究紹介
 緑川 茉歩 (南アジア・インド洋世界論講座)
 阪口 諒佑(イスラーム世界論講座)

第4部15:15~ 教員との個人面談・大学院生との座談会(終了後、順次解散)

ぜひ積極的なご参加をお待ちしています!

◆ 東南アジア地域研究専攻 第1回オープンキャンパス2025
日時:2025年6月1日(日)13:00-17:00
参加申込URL:https://www.asia.asafas.kyoto-u.ac.jp/news/ocasia2025/
*オンライン会議システムZoomでの開催となります。 
*詳細情報と申込方法は上記の研究科ウェブサイトで公開しています。
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・CSEAS Colloquium
日時:2025年5月29日(木)13:30–15:00(日本時間)
場所:京都大学稲盛財団記念館3階中会議室(I332、対面のみ)
題目:Non-Diplomatic Relations between Bhutan and China: A Historical and Contemporary Perspective”
報告者:Sonam Kinga(RIGSS)
詳細:https://kyoto.cseas.kyoto-u.ac.jp/event/20250529/

・第146回京都大学丸の内セミナー
日時:2025年6月6日(金)18:00–19:30(日本時間)
場所:京都大学東京オフィスおよびオンライン(Zoom)
題目:アジアの沿岸に暮らすイルカたち
報告者:木村里子(CSEAS)
詳細:https://kyoto.cseas.kyoto-u.ac.jp/event/20250606/

・第265回 アフリカ地域研究会
日時:2025年6月19日(木)15:00-17:00
演者:阿毛 香絵(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
演題: 若者たちのイスラーム セネガル近現代を動かしたダイナミズムの宗教誌
主催:京都大学アフリカ地域研究資料センター、日本アフリカ学会関西支部
https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/research/as
*お申し込み
京都大学稲盛財団記念館3階大会議室 + Zoomオンライン
開催方法は、開催2週間前までに当センターHPにてご案内いたします。
https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/

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■ 編集子より From the Editor
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今回のメルマガ号でも、大変に情緒あふれる記事を寄稿いただきました。多くの方にとってフィールドワークの季節がやってきます。今年度も皆さんがそれぞれに実りある成果を得て、後期に報告を聞くのが今からとても楽しみです(R・N)
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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会
ASAFAS キャリア・ディベロップメント室
ASAFAS 次世代型アジア・アフリカ教育研究センター 臨地教育・国際連携支援室
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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