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第233回 「メルマガ写真館」

第233回 「メルマガ写真館」
「地面に近い空間で家事労働をする」
元木 春伽(アフリカ地域研究専攻)

調査地であるエチオピア西南部では、インフォーマントの女性たちが、高さ30cm未満の椅子に座って家事労働に従事する様子(写真1)をしばしば観察しました(ちなみに、日本のオフィスチェアの高さは約40cmです)。彼女たちは、台の上に食材などをのせて作業することは少なく、地面から高さ約30cmの空間で、しゃがむ姿勢(写真2)をとって野菜を切ったり、膝をまげることなく深前屈の姿勢(写真3)で敷地内をほうきで掃いたりしています。調査によれば、この地面に近い空間で、彼女たちは6種類の姿勢を取りながら日々の家事労働をしていることが明らかになりました。


(写真1):高さ30cm椅子に座った状態で、上半身を深く前傾させて衣類を洗う。股関節周りの多様な筋肉がうまく連動していて、股関節の可動域が広い。しばしば、上体を起こして桶に水を足す。


(写真2):写真の女性は、肩幅くらいの間隔で両脚を揃えて地面にかかとをつけてしゃがみ、右肩と膝をくっつけた姿勢で、玉ねぎを切っている。ふくらはぎの筋肉や足首を曲げる背屈に関わる筋肉がうまく機能していて、この姿勢のまま、玉ねぎ2つを切り続けることができる。


(写真3):多くの世帯では、女性が朝と夕方の2回、深く前屈するような姿勢をとって、箒を使って敷地内の中庭を、5分以上かけて掃いていた。使っているほうきの長さは66cmであった。

(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/

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