ASAFAS 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
インターネット連続講座
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  第五回 「地域研究で 開けゴマ
東南アジア地域研究専攻 古川久雄(生態環境論講座) 
 
 

Contents

地域研究への誘い

地域

フィールドワークと直観的観相

<自然地域>の相と<メタ地域>の相

<寄生メタ地域>の暴走に歯止め

1、地域の単位−今西錦司の示唆

1-2、今西錦司の生物社会の見方

1-3、岩田慶治の指摘

1-4、生物のホメオスタシス

2、高谷好一の「世界単位」

2-2、「世界単位」の概念

2-3、腑に落ちない点

3、地球単位

3-2、「地域種社会」と「地球単位」

3-3、<寄生メタ地域>

4、地域研究の存在理由

  

岩田慶治の指摘


 岩田慶治さんは文化が形をもった生き物であるのにたいして、場は形をもたぬ生きもの、捕えても捕え切れず、切り刻んでもたちどころに再生する怪物であるといわれるのだが、文化に形が在るくらいなら、文化を生み、受け渡しをする、いわば文化の鋳型あるいは経路ともいうべき場に形がないわけがない。無いと見えるのは専ら産物である文化の方から、つまり岩田さんのおっしゃる柄の方から地〈場〉を求めようとするからで、千差万別の柄に惑わされて地の形が見えなくなるのだとは、岩田さん自身の指摘だ。

8 カリンガ征討戦を契機に、仏教広布に転じたアショカ王の故事は、乾燥ステップから森の世界へ入ることで猛々しい心が生命の仏性に目覚めた転成を物語るかのようである。ガンディーの非暴力まで続いた平和主義の伝統は国家の枠組みの前では無力なのか。

(カラチのインド博物館、アショカ王のライオン柱頭)

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