ASAFAS 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
インターネット連続講座
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  第五回 「地域研究で 開けゴマ
東南アジア地域研究専攻 古川久雄(生態環境論講座) 
 
 

Contents

地域研究への誘い

地域

フィールドワークと直観的観相

<自然地域>の相と<メタ地域>の相

<寄生メタ地域>の暴走に歯止め

1、地域の単位−今西錦司の示唆

1-2、今西錦司の生物社会の見方

1-3、岩田慶治の指摘

1-4、生物のホメオスタシス

2、高谷好一の「世界単位」

2-2、「世界単位」の概念

2-3、腑に落ちない点

3、地球単位

3-2、「地域種社会」と「地球単位」

3-3、<寄生メタ地域>

4、地域研究の存在理由

  

地球単位


 それは,端的に言うと,常識に戻ってしまうのだが,アジア,アフリカ,ヨーロッパ、アメリカといった大きな地体構造で区画された範域だ.これを仮に「地球単位」と呼んでおく。高谷の「世界単位」は長い歴史の中で熟成し,その統合体としての緊密さや,内部諸地域の類似性が強い.それに対して,今,私の言い出した「地球単位」は、<自然地域>と<メタ地域>と言う二つの相の懸隔が大きい.然し,それにもかかわらず,アジア,アフリカ、ヨーロッパ、等の範域に別個の特性を認める見方はヘロドトス以来、地中海世界に長い歴史がある。その上に,更にヨーロッパ人の新大陸大移動や植民地支配と共に、一層強く、重層的に定着してきた。その意味では、この範域区分はヨーロッパの大拡大以降生じたメタ地域かもしれない。いわばお仕着せの地域だ。こう言う次第だから、「地球単位」は高谷の「世界単位」程すっきりしえない。現在形成中の複合体だ。しかし、お仕着せの結果、押し付けられた方も自分達のアイデンティティを求め、似たもの同士の寄り集まる大地のひろがりを模索することになってきていると思う。この過程は各「世界単位」の実体がお仕着せをきっかけに反って目覚め始めたと見える。

12 ヨーロッパ人大航海時代の幕を開いたコロンブスはレコンケスタを完了したイザベラ女王がユダヤ人を国外へ追放しようとした正にその瞬間に、新天地を求めたユダヤ人だった。バルセロナ港にはコロンブス像が高く立ち、復元されたサンタマリア号が停泊している。

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