■■ October 2019 第196号 ■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■【発行部数 1248】■■
__今月号の目次 Contents_______
□フィールド便り.... 家族の涙
□メルマガ写真館..........鍋料理は技術の結晶
□お知らせ..........................入試日程、履修プログラム
□講演会・セミナー情報....アフリカ地域研究会など
□最近の出来事........ Facebook・Twitter情報
□編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「 家族の涙 」
松井 梓(アフリカ地域研究専攻)
2018年12月、計6ヶ月の調査を終え、私は調査地を離れるところでした。帰国に向けて滞在先の家を出る際、思いがけないことが起こりました。滞在先の家の妻のEさんが、静かに泣いていたのです。
人類学者の中屋敷千尋氏は著書『つながりを生きる―北インド・チベット系社会における家族・親族・隣人の民族誌』(2019年、風響社)の中で、彼女が学生としての最後の調査を終えてフィールドを離れる際、滞在先の家族が見せた涙に戸惑い、その意図を図りかねたことを記述しています。一読者から見れば、それは家族の方が中屋敷氏に強い情を抱いていて、離れることが寂しいからだと明らかに思えるでしょう。もちろん中屋敷氏の置かれた状況や彼女と滞在先の人たちとの関係性は、私のものとは違います。しかし、中屋敷氏がなぜ家族の涙の意味を図りかねたのか、私には実感を伴ってよく分かる気がしました。
私の調査地には噂話がはびこっています。そこにいるとあたかも、その人の本当の性格やその人が本当は何をしたのかという「真実」はどうでもよく、私の本当の意図も本当の感情も実際にした行為もほとんど考慮してもらえることはなく、ある人が何を思い、何をしたのかは周囲による噂話の中で出来上がってしまうように感じることがありました。Eさんが周囲に、「アズサは金を払わない」と私を悪く言って回っていることも知っていました(実際はかなり払っていましたが)。私に対する悪口は、私が滞在していることによる周囲からの妬みをかわすためであることは私も理解しています。しかし、彼女が周囲に示しをつけるために見せなければいけない態度を取り払って、Eさんと一対一で気持ちを通わせることの難しさを感じながら毎日を過ごしていました。
だからこそ彼女の静かな涙に戸惑いました。私とEさんとの間には、友情や親密な感情だけではなく、怒りや妬み、少しの裏切りも混ざり合った、複雑な関係があったはずです。Eさんの嘘ではない涙は(彼女はむしろ、泣いていないような演技をして冗談を言いました)これらすべてを一足飛びに越えてきました。そして車が発車するとき、泣き顔を見せまいと彼女は顔をそむけました。
その涙を経ても、やはり私はまだまだEさんと深く通じ合えたとは思っていませんし、許せていないこともあります。それは相手も同じでしょう。ですがこのような過程を経ながら、すべての調査を終えるときEさんとどのように別れることになるのか、見定めていこうと思っています。
(上記のフィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/2600205526692450
写真の説明
写真1 調査地のモザンビーク島では、明け方多くの船が漁に出る
写真2 家の軒先で料理をし、お喋りをする島の女性たち
写真3 モザンビーク島の家々
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「鍋料理は技術の結晶」
畔柳 理(アフリカ地域研究専攻)
私の調査するモザンビーク共和国マプト州では、料理にアルミ鍋が使われています。アルミ鍋は、炊飯や煮物などの様々な場面で登場します。マプトの商店街では、・・・
(続きと写真は次のURLをご覧ください)
第161回 「メルマガ写真館」
(上記の写真館については次のFacebookでもご覧いただけます)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/2600198393359830
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■ お知らせ Announcements
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□ 専攻別 2019年度オープンキャンパスの開催
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*詳細情報と申込方法は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
◆ アフリカ地域研究専攻 第3回オープンキャンパス2019
日時:2019年11月23日(土)14:00-16:30(受付開始13:30)
場所:京都大学稲盛財団記念館3階セミナー室(318)
詳細および参加申し込みについては下記をご参照ください。
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/africa20191123/
◆ 東南アジア地域研究専攻 オープンキャンパス2019
日時:2019年12月11日(水)13:00-17:00(受付開始12:30)
場所:京都大学本部キャンパス文学部校舎地下1階 大会議室(L012)
詳細および参加申し込みについては下記をご参照ください。
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/asia20191211/
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□ 2020年度 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 入試日程
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*募集要項等の詳細は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
◆ 第1回入学試験
出願期間:2019年8月19日(月)~8月28日(水)17時必着
試験日程:2019年9月11日(水)、12日(木)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/application
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□ 令和元年度 アジア・アフリカ地域研究履修証明プログラムの開催
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*詳細情報と申込方法は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
◆ 東京オフィス2019
出願期間:~2019年8月29日(木)17時必着
日程:2019年10月~2020年2月(週末土・日)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/rishushomei/
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■ 講演会・セミナー情報 Lectures, Seminars
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□ 第246回 アフリカ地域研究会
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日時:2019年11月21日(木)15:00-17:00
場所:京都大学 稲盛財団記念館3階 中会議室
演者:粒良 麻知子(日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センターアフリカ研究グループ・研究員)
演題:タンザニア政治の今:マグフリ政権の4年間を振り返る
https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/as/as246/
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□ 京都大学アフリカ地域研究資料センター、
アフリカ学際研究拠点推進ユニット共同主催
公開講座「アフリカから学ぶこと:いま私たちにできること」
(要事前申込・受講料 1講座1000円,5講座4000円)
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京都大学では2017年にアフリカ学際研究拠点推進ユニット(アフリカユニット)を立ち上げ、分野を超えてアフリカに関わる研究をつなぐ取り組みをおこなっています。今回のシリーズでは、アフリカユニットから、さまざまな分野でアフリカ研究を展開している5人の専門家に最新の話題を提供してもらいます。アフリカを学ぶ私たちにとって、いま何ができるのか、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。
◆ 第1回 2019年10月26日(土)
「アフリカをつくる:ものづくりの営み」
高橋 基樹(京都大学アフリカ地域研究資料センター・教授、副センター長)
◆ 第2回 2019年11月30日(土)
「アフリカを繋ぐ:住民との道直しから」
木村 亮(京都大学大学院工学研究科・教授)
◆ 第3回 2019年12月21日(土)
「アフリカを癒す:健康とは何か」
新福 洋子(京都大学大学院医学研究科・准教授)
◆ 第4回 2020年1月18日(土)
「アフリカを食べる:グラスカッターの家畜化」
村山 美穂(京都大学野生動物研究センター・教授)
◆ 第5回 2020年2月15日(土)
「アフリカを歩く:山・砂漠の自然と人と」
水野 一晴(京都大学大学院文学研究科・教授)
いずれの回も、
時間:15:00~17:00(開場 14:30)
場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
定員:80名
*申込・詳細
https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/series/koza2019/
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■ 最近の出来事 Recent Topics
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□ Facebook・Twitter情報
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■ 編集子より From the Editor
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日本代表が敗退してラグビー・ワールドカップの熱も一段落したようである。しかし、開催国社会の一員として、最後まで関心をもって見届けるのがマナーであり、ノーサイドの精神にもかなうことだろう。決勝の観戦でも両チームに声援を送りながら手に汗を握りたい。
さて、ラグビーの日本代表への応援の盛り上がりを見ていて感じたのは、日本や日本人のかたちも柔軟に変わりえるのかな、というそこはかとない希望である。代表になる資格は、出生地が当該国、父母・祖父母のいずれかの出身地が当該国、あるいは当該国への続けて3年以上ないし10年累積での居住のいずれかだそうである。今回の日本代表31人のうち、15人が外国出身、また7人は外国籍である。ネット上ではこれが日本代表?という疑問の声もなくはなかったようであるが、少なくともマスメディアを見る限り、主将をはじめ外国出身・外国籍選手もひっくるめて、日本代表として、その試合ぶりに熱く一喜一憂していた。素直によかったと思う。
そして、アフリカ研究者としてはアフリカ出身の選手がいたことがなんともうれしかった。が、よく考えてみると、スポーツの世界では、外国出身、外国籍あるいは日本以外の土地の血を引く選手の活躍を受け入れ、応援し、尊敬することは、それほど珍しいことではない。野球しかり、大相撲しかり、サッカーしかりである。テニス、バスケット、陸上競技ではアフリカの血を引く選手の、歴史を塗り替える大活躍が日本人の業績として喝采を浴びている。
同じことが大学はもちろんのこと、企業、地域社会にも広がっていくことが、もちろん望まれる。実際、外国出身・外国籍の人びとの存在感は増してはいるが、その活躍を心から歓迎し、惜しみない応援をしているわけではないだろう。スポーツの世界ほど、状況は甘くない。
いやスポーツ界も含め、日本代表になり、世界的な活躍をし、日本社会で賞賛を受ける人びとの背後には、未だにつらい思いをしている、普通の外国出身あるいは外国人の血を引く人びとがいる。スポーツの得意なアフリカ出身者・アフリカ系日本人もいれば、不得意な人びともいる。むしろ多くは、「…のくせにできないのか」という理不尽なステレオタイプに子どものころから悩まされてきたのではないか。そうした人びとも普通に仲間として受け入れることこそが、いちばんなければならない。スポーツの次元に限らず、である。
そんな当たり前だけれども、現在の日本社会のいちばん難しい課題を、日本代表を撃破した南アフリカ代表のさすがの強さに感心しつつ、考えさせられたラグビー・ワールドカップだった。(M.T)
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