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アジア・アフリカ地域研究情報マガジン 第246

■■■ December 2023 第246号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数 1,084】■■■■■■

__________今月号の目次 Contents__________

□ フィールド便り....... インドネシアのパレスチナ問題
□ メルマガ写真館....... 深夜のコルカタ
□ お知らせ....... アフリカ地域研究資料センター公開講座/Lloyd Ridgeon先生研究講演会
□ 最近の出来事.........Facebook・X(旧Twitter)情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「インドネシアのパレスチナ問題」
中鉢夏輝(グローバル地域研究専攻)

 10月7日を境にインドネシアの首都ジャカルタの景観に変化が起きています。この日は中東のパレスチナ・ガザ地区で戦争が始まった日でした。ジャカルタでは軒先や路上にパレスチナ国旗が掲げられ、車やバイクには「Free Palestine」と書かれたシールが貼られ、白黒格子模様のクーフィーヤ(パレスチナの抵抗を示すスカーフ)をヒジャブとして頭に巻く女性が見られます。人々は日常のさまざまな場面でパレスチナ人への連帯を表明しています。
 インドネシア人が遠く離れたパレスチナを応援するのは不思議に思えるかもしれません。一部メディアでは、ムスリム国家だから反イスラエル感情が強い、という説明もなされます。筆者は、なぜパレスチナの旗やモチーフを使っているのかいろいろな人に尋ねました。「ムスリムの同胞が殺されているから」「アクサー(イスラーム第3の聖地とされるモスク)が占領されているから」と宗教に絡めた答えがありつつも、最も多いのは「(イスラエルがやってきたことが)植民地主義だから」という答えでした。とある商店の店主は「インドネシアにはオランダと日本に植民地支配された歴史がある。植民地支配は酷いものだった。同じように植民地支配されているパレスチナを応援するのは当然さ」と語りました。
 パレスチナ問題は、インドネシアの歴史と連続した植民地主義との闘いとして認識されていると筆者は感じました。他方で、この問題に熱心な人々の関心が現在のインドネシアの問題とどれだけ結びつき得るか、ということも気になりました。インドネシアにも「占領」があると訴える人はいます。例えば一部の人は、1969年に併合されたインドネシア東端のパプアをパレスチナになぞらえます。パレスチナ問題が投げかける問いをインドネシアの人々がどのように受け止めていくのか、注視していきたいものです。

写真1:パレスチナの旗が取り付けられた電柱 
写真2:パレスチナの旗が取り付けられたトラック

(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid032PDT3CLoo9ZGVkThuzGTCFd1NZQyqH4jW2UG6syo38k5YUFDuoFmcp7imgAWr75Pl


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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「深夜のコルカタ」
八木咲良(グローバル地域研究専攻)

 1月深夜、ネタジ・スバス・チャンドラボース国際空港から出た瞬間、なんとも言えないスパイスと埃が混じったぬるい空気に包まれました。たくさんのインド人男性に「cab?」と声を掛けられるのはコロナ前も現在も変わりません。空港内で予約したプリペイドタクシーを探すためカウンターに行くと、2004年まで製造されていた英国の雰囲気が残る黄色タクシーが手配されます。窓は閉まらず、もちろんエアコンはありません。大気汚染によってあたりの景色は殆どぼやけて見えます。野良犬の鳴く声、鳴り響くクラクション、車両から流れる大音量のインド音楽、そんな喧騒とは反対に路上で寝る人々、布で覆われた露天などは静まり返っています。
 白線を無視してカーレースのように突き進む車両中で「やっとインドに来た」という実感が湧くのです。

注:
今年の7月頃よりコルカタにおける空港タクシーの利用方法が”Yatri Sathi”というアプリを使って予約する方法に変更となり、今回執筆した空港内カウンターでタクシーを事前支払いで予約するような光景は現在では見られなくなっている。

写真1:コルカタ名物のイエロータクシー
写真2:外のカウンターに集まるイエロータクシーのドライバーたち
写真3:深夜でも煌々と光る空港

(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid023j5nSvNH9zT4Nr5LZcNZeNRmMDxn68ZpJTh6MzVGa8VGchC2cRCfnCKeSdHBbXN9l

(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/


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■ お知らせ Announce
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□ 2023年度 アフリカ地域研究資料センター公開講座
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◆第4回 2024年1月13日(土) 
講師:安岡 宏和(京都大学アフリカ地域研究資料センター・准教授)
15:00〜17:00(開場14:30)
京都大学稲盛財団記念館3階 大会議室
詳細 https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/archives/info/koukaikouza2023
お問い合わせ先 京都大学アフリカ地域研究資料センター
Tel:075-753-7803
manabiafrica[at]gmail.com([at]は@に変更してください)

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Lloyd Ridgeon先生研究講演会
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【日時】1月16日(火)14時~16時
【場所】京都大学本部構内総合研究2号館4階 会議室(AA447)
【プログラム】
Lloyd Ridgeon“Rūmī’s criticism of Awhad Al-Din Kirmani's shāhid-bāzī”
【お問い合わせ先】
京都大学ケナン・リファーイー・スーフィズム研究センター
Tel:075-753-9628
suzuki.manami.2h@kyoto-u.ac.jp(鈴木) 
【共催】
京都大学ケナン・リファーイー・スーフィズム研究センター
科研費・基盤研究(B)「「スンナ派」と「シーア派」:自己意識と相互認識のイスラーム史研究にむけて」(研究代表:森本一夫、23H00674)
慶應義塾大学商学部新井和広研究室
京都大学イスラーム地域研究センター
【後援】
科研費・国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))「スーフィズムの総合的研究-思想・文学・音楽・儀礼を通して」(研究代表:東長靖、21KK0001)


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■ 最近の出来事 Recent Topics
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■ 編集子より From the Editor
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最近、綿繰りにはまっています。とある機織り工房で時々お手伝いをさせてもらっています。綿繰り機という道具を用いて、種と綿を分けていきます。ハンドルをぐるぐる回しながら、種のついたままの綿をローラー部分に入れていくと、種はこちら側にぽとんと落ち、綿だけが向こう側にいくという、シンプルなつくりの道具です。道具がシンプルであればあるほど、使い手のさじ加減が重要で、綿を詰め込みすぎてもギーギー音が鳴るし、速く回しすぎるのも良くないのです。道具と素材と自分とがうまく調整できたときにだけ、しゃりしゃりと音を立てながら綿が吸い込まれていくのが、なんとも言えず気持ちよく、そのうち自分用を入手したいなあと思っています(しかし、とっても高い)。
  (Y.T.)
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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会
ASAFAS キャリア・ディベロップメント室
ASAFAS 次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
    臨地教育・国際連携支援室
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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